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新垣結衣本人に重なる「確信」

『ゴーストブック おばけずかん』のクランクインは2021年2月。劇場映画への出演は、2018年公開の劇場版『コード・ブルー』以来となる。実は『鎌倉殿の13人』と同じように、この映画の中でも新垣結衣は、葉山瑤子という臨時担任教師にある変化をつけて演じている(公開も終盤なので、ここから映画のネタバレに触れることをお許しいただきたい)。

 4人組の少年少女の異世界冒険に付き合う前の葉山瑤子は、東京で夢破れ、教育に意義を見出せないまま教師をしている若い女性として描かれる。しかし異世界での冒険と少年少女たちの成長の後、彼ら生徒と、担任の葉山瑤子は時間を巻き戻し、まったく同じ日をもう一度生き直すことになるのだ。

 映画の前半で頼りなく、弱々しげに生徒たちに挨拶する葉山瑤子を、新垣結衣は映画のエンディング近くでもう一度力強く、教師という職業を選び直した女性として演じ直す。

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新垣結衣さん ©️AFLO

今後はマイペースな出演頻度になることもありうる

 ひとつのシーンをまったく違う二つの心理で演じなおすそのシーンは、10代でモデルとして芸能界入りし、立ち止まる暇もなく若手人気女優として走り続けてきた新垣結衣が、2年近くのスローダウンと独立の後でもう一度自分で選び直した、俳優としての再出発の象徴のように見えた。

 今後、俳優としての新垣結衣がどんな活動をしていくのか、それは大きな事務所を離れた今、彼女自身にしか分からない。元々アグレッシブに活動するタイプではないようにも見え、マイペースな出演頻度になることもありうる。

 多くのファンは大ヒットシリーズ『コード・ブルー』の続編、あるいは星野源との『逃げ恥』の続編を望むだろうし、子どもをもったあとの平匡とみくりの物語を見たい期待はもちろんある。しかし、新垣結衣にはもうひとつ、ファンに待望されたまま何年も経つ人気作がある。それは堺雅人と演じた『リーガル・ハイ』シリーズの続編である。

「リーガル・ハイ」にも出演した新垣結衣さん

これからも脚本家からの期待が絶えないのでは

 堺雅人、新垣結衣の俳優としての大ブレイクに加え、脚本の古沢良太が2023年の大河ドラマ脚本家に決定しているため、当分は望めないかも知れない。だが、『リーガル・ハイ』シリーズは堺雅人演じる古美門弁護士のドライで現実的な法律論と、新垣結衣演じる黛真知子弁護士の理想主義的な人権論の対決は、ポリティカルコレクトネスをめぐる論争が強まる今、ドラマの枠組みとして、当時よりさらに今日性を増しているように思える。