〈あらすじ〉

 フランスの閑静な地方都市。クラリス(ヴィッキー・クリープス)は、鉄道関係の会社に勤務する夫のマルク(アリエ・ワルトアルテ)と、長女リュシー、その弟ポールの4人で暮らしていた。

 冬のある明け方、クラリスは旅行バッグを手に静かな家を抜け出し、夫の愛車を走らせる。カセットテープから流れてくる、娘が演奏するピアノ曲を聴きながら。一方、クラリスが不在の家では、3人の生活が続いていた――。

〈解説〉

 国際的に活躍する俳優マチュー・アマルリックの、『バルバラ セーヌの黒いバラ』に続く監督・脚本作。家出したと思しき主人公の謎めいた行動を軸に描くヒューマン・ドラマ。97分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆あえて説明的な描写は避けたのだろうが、案外シンプルな話。ヒロインの心情より中流家庭のインテリアや生活流儀に注目。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆撮影と編集にスピンをかける意識が強すぎたせいか、案外ハートに届かない。V・クリープスの二重底体質は眼を惹くが。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆冒頭の場面にうんざりしたが、原因がわかった途端に身が竦んだ。時間と場面をシャッフルする感情の演出にのまれた。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆事情を知れば人の見え方が変わる。強い外圧で主観は迷宮化する。これはトリッキーというより誠実な世界把握の賜物だ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆ヴィッキー・クリープスの有毒性ある演技。逃げたい、手放す、複雑に交差する感情をこんなにも美しく撮る監督の手腕。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
  •  
© 2021 - LES FILMS DU POISSON - GAUMONT - ARTE FRANCE CINEMA - LUPA FILM

『彼女のいない部屋』(仏)
8月26日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
https://moviola.jp/kanojo/