〈解説〉
アルジェリアの広大な砂漠の中に佇む、小さなカフェ。そこの女主人・マリカと、店を訪れる客たちの交流を観測するドキュメンタリー。
カフェの客は、目の前の道路を行き交うトラックの運転手や旅人など。マリカは客たちとお茶を飲みながら世間話をし、暇なときは愛猫や2匹の犬と戯れて時間を過ごし、夜になるとランプを灯して眠りにつく。なぜ彼女はこの辺境の地で、たった1人でカフェを営んでいるのか？
旅行中に彼女に出会った、アルジェリア出身のハッセン・フェルハーニ監督は、それを本人に問いかけず、カフェとその敷地内だけでカメラを回し続ける。すると、マリカの人生の断片と、アルジェリアの社会情勢が、徐々に浮かび上がっていく。
2019年ロカルノ国際映画祭最優秀新人監督賞受賞作。104分。
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中野翠（コラムニスト）
★★★★☆砂漠の中のポツンと一軒家（カフェ）。店主はもはやコワイものナシといった風情の老女。過不足ない暮らしに見えて来る。
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芝山幹郎（翻訳家）
★★★★☆隙の多い作りだが、言うことのしょっちゅう変わる謎のおばさんが面白い。ごろんとした孤独が砂漠の空洞と響き合う。
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斎藤綾子（作家）
★★★☆☆広大な砂漠で独居は肝が据わって見えるが、狭い日本にも似た高齢者はいそう。「ふさぎの虫が泳いでいる」と歌う唄に☆。
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森直人（映画評論家）
★★★★☆謎の定点観測者の如きおばあちゃんの店が映画の求心点。トポスという概念が似合う「場所」と「主」には哲学が宿る。
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洞口依子（女優）
★★★★☆砂漠の喫茶店の愛に満ちた女主人。そこに集う人々。それらを切り取るキャメラのフレーム。謎も含め全て心地よく魅了。
- もう最高！ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ！★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『サハラのカフェのマリカ』（アルジェリア、仏、カタール）
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中
https://sahara-malika.com/
