〈あらすじ〉

 オハイオ州の小さな町で、腕利きヘアメイクドレッサーとして活躍していたパット(ウド・キアー)。現在は、老人ホームで孤独に暮らしている。

 そんな彼のもとに、かつての顧客で町一番の金持ちだったリタ(リンダ・エヴァンス)が死亡したという知らせが届く。そして遺言書に基づいて“死化粧”を依頼されるが、リタへの複雑な感情からそれを拒絶してしまう。ところがこれをきっかけに、過去の様々な出来事を思い出した彼は、衝動的に施設を抜け出し、リタの葬儀場へと向かう。

 その道々で、かつて愛する人と暮らした家、ドラァグクイーンとしてステージに立っていたゲイバー、自分を裏切った一番弟子の店などを訪ね歩くうち、パットはある境地にたどり着く。

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〈解説〉

 トッド・スティーブンス監督が、17歳の頃に衝撃を受けた同郷の人物をモデルに、ゲイの元美容師が“スワンソング=最後の仕事”に向かう姿を描く。105分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★★ウド・キアー、堂々の風格(ピンクの帽子姿でさえ)。D・アーバスの写真集も連想。アメリカ映画ならではの味わい。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆ウド・キアーの眼が精悍でお茶目だが、全体のトーンが平板すぎる。おとぎ話だからこそ、細部の充実と厳しさが欲しい。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆Mr.パットの眼差しと仕草に笑いと悲しみが溢れる。「ネット世代のゲイはバーを必要としない」という台詞が胸に刺さる。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆役者を観る歓びに満ちている。キアーの動きがハネるとこちらの心も解放される。真っ直ぐ飛び込んでくる慈愛の剛球だ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆ウド・キアーの演技に恍惚。老いて死を迎える迄を一人で過ごす勇気とアイデンティティとユーモア。老いと争う世代へ。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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© 2021 Swan Song Film LLC

『スワンソング』(米)
8月26日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
https://swansong-movie.jp/