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「中継ぎは一喜一憂しすぎない。これに尽きる」“職人”中日・谷元圭介が後輩たちに伝える“極意”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/06
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「根尾の球を見たら誰だって驚く。すごい才能だよ」

 今年の1軍合流直後に、大塚晶文投手コーチに「投げろと言われたところでしっかり投げます。いたらいたで助かる存在になりたい」と伝えた。その上で「俺なんかがいいところ(勝ちパターン)で投げていちゃダメ」と、ブルペン陣を俯瞰している。今年1月の宮古島自主トレで弟子入りした山本を筆頭に、藤嶋、清水達也投手、根尾昂投手らが竜の黄金期を作り上げていかないといけない。

 山本には、自主トレで多くを語らなかった。「聞いてくることに関して答えていた感じかな。全体的に力みぐせがある。『独りよがりじゃん』って」。それでも唯一外出が許されていた札幌遠征では、二人で海の幸を楽しみながら悩みを聞いた。簡単に1軍に定着できないことを身にしみて感じているからこそ、弟子には厳しくなるのかもしれない。山本は「もちろん大師匠でもある方なんですけど、自分が越えなきゃいけない存在だと思っているので頑張ります! 力みすぎずに」と意気込んでいる。

 今シーズン途中に投手へ転向した根尾には、谷元ならではの視線を送る。「根尾はクレバーだし、実戦向き。最初、野手投げとか言われてたけど、そんなの関係ない。あの球を見たら誰だって驚く。すごい才能だよ。世界で“二刀流”をしてるの2人だけだよ? 俺は(大谷)翔平も間近で見てきたからね」。メジャーリーグの歴史を数々塗り替える男と、根尾をダブらせられることができるのは、谷元しかいないかもしれない。

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 強いチームには、切磋琢磨できる同年代の投手がいると常々口にしてきた。ずっとプルぺン陣を支えたい気持ちと、若手が台頭してきてほしい気持ち。天秤にはかけられないが、記者はまだ歯を食いしばって投げる姿を見たい。

 謙虚だけど、負けず嫌いな38歳のたにもんさん。500登板を超え、コツコツ積み重ねてきた登板数は509に達した(9月6日現在)。「40歳まで現役できたらいいかなぁ、なんてのはある。(日本ハム時代の同僚)宮西(尚生)、増井(浩俊)より長くやりたいね。あとは、武田久さん。背が小さい投手でもやれることを示してくれて、僕のプロ入りへの道を作ってくれた。(武田さんの)534試合は超えたい」。

 ひそかな野望を語ってくれて、ありがとうございます。超えられない壁などない。ときには剛球で、ときには意表を突く緩急で戦っていけばいい。いろんな投球術、いろんなプロ野球人生があっていい。

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