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 悪いコメントを見つけて「へへっ」とひとり笑みを浮かべる浜辺を想像したら、『賭ケグルイ』の夢子とつい重ね合わせてしまった。ただ、SNS時代の芸能人はそれほどのメンタルでなければやっていけないのかと思うと、ちょっと同情したくもなるが。

 脚光を浴び始めたころから、目標は「ずっと俳優を続けていくこと」と言ってきた浜辺だが、それも昨年のインタビューでは、「いまはそこまで断言できない」として、次のように語った。

「突然結婚しちゃうかもしれないし…」

《お仕事はとても楽しいけれど、もしかしたら急に休みたくなるのかもしれないですし、突然結婚しちゃうかもしれないし、いい時期にぱっと辞める美しさに憧れるときが来るのかもしれません。もし何かを成し遂げたと思えたとき、自分がどうなってしまうのか想像がつかなくて。ただ、私はゴールを自分で決めてしまうとテープを切った後に走れなくなりそうなので、いまは何も決めず、“わからない未来”を楽しみたい。そして、それがどんな場所かはわからないけど、“ここが最高の場所”と心から思える地点に辿り着いてみたいです》(『別冊カドカワScene 04』2021年1月)

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 とはいえ、理想の高い彼女だけに、“最高の場所”にたどり着いたと思えるときが来るのは当分先だろう。すでに今年から来年にかけても出演作が目白押しだ。今年初めに放送されたドラマ『ドクターホワイト』では、天才的な医療知識と診療能力を持ちながらも、それ以外の記憶や常識は一切欠落したピュアなヒロインを演じ、その本領を発揮した。続いて4月には岸井ゆきのと共演した映画『やがて海へと届く』が公開された。さらに来春公開予定で、ヒロインを務める映画『シン・仮面ライダー』の撮影も進められている。

『ドクターホワイト』(2022年、番組公式サイトより)

 来春からはまた、『まれ』以来8年ぶりとなるNHKの朝ドラ『らんまん』にヒロインとして出演することが決まっている。その役どころは、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎をモデルにした植物学者・槙野万太郎(演じるのは神木隆之介)の妻・寿恵子だ。史実では、借金取りに追われながらも研究に没頭する牧野を、妻の寿衛子が献身的に支えてきたと伝えられる。

 しかし、浜辺は今回出演が決まり、脚本を担当する長田育恵とも相談しながら《夫を支えるひたむきな妻、という姿だけではなく寿恵子さん自身が植物のように根を強く張り逞しい女性として生涯を万太郎さんと駆け抜けて行けたらよいなと思っております》と語った(「NHKオンライン」2022年5月10日配信)。さまざまな顔を持ったヒロインを毎朝見られると思うと、いまから楽しみである。