大阪府茨木市の学校法人・追手門学院が行った職員研修で、外部講師が「腐ったミカンを置いておくわけにはいかない」などと発言した問題。元職員の男性がうつ病を発症した原因は退職を強要されたことにあるとして、茨木労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。

 参加者が「あの研修は人の心を失わせる」とまで語った職員研修。「週刊文春」は3年前、名門校で起きていた「辞めさせ研修」の実態を報じていた。当時の記事を公開する。(初出:週刊文春 2019年9月19日号 掲載 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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「悪いけどね、いらないよ、この学院の中に。あなたのような腐ったミカンを追手門学院の中に置いておくわけにはいかない」

 これは、大阪府茨木市の学校法人、追手門学院が行った職員研修で、同学院の事務職員に対し投げられた言葉である。

 2016年8月22日、事務職員18名が新大阪丸ビル新館の一室に集められた。カーテンが閉められた会場の後席には、学院執行部の面々と人事課職員、そして私学の採用・人事コンサルティングを手がける「ブレインアカデミー」(以下・ブ社)の今井茂社長が陣取っていた。

 研修の講師を務めたブ社のA氏は、

「事前の執行部との打ち合わせの中で再三再四確認しておりますけれども、原則として今回の18名全員が、今年度末、来年の3月末の段階で残念ながら学院を退いていただきたい。例外なくです。18人全員がね」

 と述べ、職員らに、

「あなたは30前で、すでに求められる人材になってないよ。追手門の改革成長の中では今の段階の○○さんはノーサンキューと言われたんです。30前で自分の今後の職業人生にダメ出しされたんだよ、あんた」

「学院のパワーを持った正式な意思決定なんだから(退職は)覆せない」

「あなたはいらない」

「老兵は去るのみ」

 などと厳しい叱責を繰り返した。

名門校に起きた異変

ブレインアカデミーのホームページ

 追手門学院は昨年、創立130周年を迎えた伝統校。“西の学習院”とも呼ばれる存在だ。幼稚園から大学まで有し、特に小学校は外部の難関中学への進学実績が高いことで知られる。

 しかし最近、この名門に異変が起きている。

「ここ数年、学生間でも話題になるほど教職員の入れ代わりが激しい。今年4月に新キャンパスを新設したこともあり、3年前から人員整理に踏み切りました。学院側があからさまに退職を強要しては問題になるため、コンサル会社を使って“辞めさせ研修”を行っていたのです」(学院関係者)

 研修の参加者が重い口を開く。