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 そして2022年。シーズン大詰めの今、村上は史上最年少の三冠王に突き進む。チャンスボールを一振りで仕留める凄みや、スタンドの全方向に運ぶ技術は既に、巨人からヤンキースに移籍する直前の02年の松井秀喜を凌駕するとの評価さえ聞こえる。同じ4番で世代が近いため、メディアが何かと比較してきた岡本和真(巨人)にも大きな差をつけた。

岡本和真 ©文藝春秋

ストレスを乗り越えた村上の「鋼のメンタル」

 前出の元NPB球団監督はインコースを攻められた時の対応に、両者の決定的な違いを見いだす。

「岡本は死球を怖がっているのが分かってしまう。内角を攻められると、もろい。内角に来るのではないかと、外角球でも体が開いてしまう。こうなると逆方向(右翼)にはホームランが出ない。対照的に村上は死球を恐れる様子がない。本当に怖くないのか、そう見せているだけなのか分からないが、事実内角攻めに打撃を崩さない。だから逆方向(左翼)にも長打できる。あれだけ崩されて三振をしていた3年前を思い出すと、成長の速さは信じられないものがある」

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 エラーで浴びた周囲の冷ややかな視線、コーチや先輩の“圧”、これらのストレスを乗り越えた村上の「鋼のメンタル」の前に、攻略法はなくなっているのかもしれない。