プライベートキャンプ場を作ろうと思い立っても、この物件探しでいきなり挫折する人が大半だが、タカさんの場合はここで「強運」に恵まれる。たまたま初対面で酒を飲んで仲良くなった相手がキャンプ好きの不動産業者で、しかも凄腕だったのである。
「今だから言えますが、プライベートキャンプ場づくりの成否を分けるのは、信用できる不動産屋さんを見つけられるかどうかにかかっているといっても過言ではありません」
結局、この凄腕不動産マンの力を借りながら、紆余曲折を経て、タカさんは札幌から車で60分ほどの場所にある物件を見つけることができた。
「土地は全体で1000㎡で、キャンプサイトになる平地も300㎡ほどあって、その部分のお値段は30万円ほど。何よりトイレどころか、4LDKの中古住宅まで、別料金ですがついていました」
終わりなき雑草との戦い
理想的すぎるほど理想的な物件で、これだけ聞くと明日にでもキャンプが出来そうな気がするが、現実はそう甘くはない。
「購入前の下見で地面が凸凹なのは気付いてましたが、まあ耕運機でも借りて整地しちゃえばそのままキャンプサイトに使えるな~って考えてたんです。ところが購入してから時間が経つにつれて雑草が育ち始めまして……夏を迎えるころには、繁殖力が強く駆除が厄介なスギナや、まるで木みたいにぶっといイタドリが生い茂ってました」
ここからタカさんと雑草との終わりなき過酷な戦いが始まる。
「最初はホームセンターで除草剤を買ってきて撒いて、効果が現れるのを待ってみたんですが、スギナには全然効かないんですね。それで農家の友人に教えてもらったスギナ用の除草剤を取り寄せまして、さらに噴霧器まで購入しました」
その甲斐あって、ようやくスギナの駆除に成功したときには購入から2ヵ月が経っていた。これで、いよいよテントが張れるかといえば、そうはいかない。
「整地」というハードル
「そこはもともと農地だったところが何年もほったらかしになって非農地になった場所だったんで、畑の名残りで地面が柔らかくボコボコ。さらに雨が降ったらグチャグチャになる。そのままだとペグも刺さらない状態でした」
つまり適切な土壌に入れ替えて、整地するしかない。通常、キャンプ場の地面といえば、芝生や土、あるいは砂利といったところだがーー。
「芝でも土でも、ざっくりいえば100坪の土地で100万円以上、重機を使うとなるとさらに値段が跳ね上がる。それで替わりに何か別のもので整地できないか、と考えました」
各方面に相談した結果、安くて時間が経てば固まっていく「火山灰」がいいのではないか、という話になったという。そこで凄腕不動産マンの人脈なども駆使してこれを調達、重機で敷き詰めたところ、何度かの雨を経て、何とかペグが刺さるまでに固まった。