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当初は「男の娘アイドル」としてデビューしたけど……

――“ジェンダーレスアイドル”という売り出し方については、どのようにお考えですか?

ぎんしゃむ MMは最初、「男の娘アイドル」としてデビューしたんです。でもアイドル活動をしていくなかで、世の中にはジェンダーやセクシュアリティのあり方で苦しんでいたり、悩みやコンプレックスを抱えたりしている人が、思っていた以上にたくさんいると感じました。

 だからプロデューサーさんと、「ジェンダーレスな存在であるMMだからこそ、伝えられることがあるよね」と話し合って、自分たちがジェンダーレスアイドルであることを宣言する“ジェンダーレス宣言”を2021年に発表したんです。

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 自分たちがジェンダーレスな存在であることをあえて宣言することで、もっと自分たちのことを多くの人に知ってもらって、希望や自信を与えられるようになれたらいいなと思いを込めました。

©杉山秀樹/文藝春秋

――ジェンダーレス宣言に対して、ファンの方々からはどんな反応が寄せられましたか。

ぎんしゃむ いい意味で、あまり変化はなかったかな。「今まで通り応援するよ」という感じでしたね。

 きっと自分たちが思っていた以上に、LGBTQへの認識や、ジェンダーレスな存在が社会に浸透してきているってことなんだと思います。もう自分たちみたいな存在が、“特別”ではなくなってきているのかも。

“社会が求める多様性”を強要したら、本当の多様性とは言えない

――おっしゃるように、多様な性のあり方への認知が広まってきています。こうした社会変化についてはどう受け止めているのでしょうか。

ぎんしゃむ 最近は「多様性を受け入れるべき」みたいな流れがありますけど、それは無理強いしてまでやるべきことなのかなとは思います。偏見を持つ人や多様性を否定する人はいなくならないと思うし、その考え方も多様な価値観のひとつじゃないですか。

 でも、そこでその価値観を否定して、“社会が求める多様性”を強要してしまったら、今度は別の形で多種多様な考え方を否定することになる。それは本当の多様性とは言えないような気がします。

©杉山秀樹/文藝春秋

――日本では、同性婚に対して保守派を中心に反対が根強く、実現の見通しが立っていない現状があります。“社会が求める価値観”を個人に押し付けるような局面でもありますよね。

ぎんしゃむ 同性婚を認めないことに、なんの意味があるのかなと思いますね。「誰かが望んでいる生き方を、社会がわざわざ否定しなくていいんじゃない?」って感じます。誰かに迷惑をかけているわけじゃないのに、なんであんなに頑固なんだろう。