「商標法の目的は、商標を保護することで商標を使用する者の業務上の信用維持を図ることです。類似性は外観、称呼、観念の三点で判断されますが、今回の事例ではロゴがあまりにも似ていることから、外観の観点で商標権の侵害が成立し得る。国によって商標法の内容は異なりますが、少なくとも日本でやれば商標権侵害が認められるでしょう」
丸亀製麺も…ロシア国内で横行する“無断営業継続”
ロシアでは、スターバックス以外にもウクライナ侵攻を機に完全撤退した企業の“無断営業継続”が後を絶たない。撤退した店舗をそのまま居抜き、本家のロゴなどを生かしつつ、店名を変える形で営業を続けるのだ。日本のうどん専門飲食店『丸亀製麺』もその被害に遭っている。同社は3月末にロシア国内から撤退しているが、フランチャイズ契約を結んでいた店舗が店名を変えて営業を再開。運営元であるトリドールホールディングスは営業停止を求めているが、現在も無断営業が続いているという。
「週刊文春」では、大手ファーストフードチェーン・マクドナルドが撤退した店舗内をそのままに開業したハンバーガーショップ「Вкусно – и точка(フクースナ・イ・トーチカ)」をレポートした(https://bunshun.jp/articles/-/55330)。ロゴや店名などは変更しているが、メニューや店内の機械、食材の流通経路、一部スタッフもマクドナルドだった時から引き継いでいる、まさに“ロシア版マクドナルド”だ。
だが、6月の開業当初から行列が絶えなかったこの店も、8月現在は客足が遠のき始めているという。現地の報道によると、品質の低下なども理由に上げられるそうだが、「Вкусно – и точка」も訪れたドミトリー氏はこう話す。
「開業当初は確かに人気でしたが、本家マクドナルドのリピーターからは『店名が違うなら、もう別の店だ』と敬遠されてしまった。今回のロシア版スターバックスはその反省を元に、本家になるべく近づける形で開業したのではないでしょうか」
スターバックスの名は、小説『白鯨』に登場する航海士・スターバックに由来する。一方、新チェーンの名称は、「できるだけ以前の店名と似た名前で営業する」という新オーナーの意思で決められたのだという。「配色、文字のフォントは異なっている」と主張しているが、果たしてコウカイしない結末となるか。
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