「街はあの事件の噂で持ち切りです」(釜石市職員)

 岩手県釜石市――。かつて「北の鉄人」と称された新日鉄釜石ラグビー部(当時)が全国にその名を轟かせた。この街で何が起きているのか。

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最重要の個人情報を“漏洩”

「今年5月、全市民約3万2000人分の住民基本台帳データを持ち出したとして、市は女性職員Aと男性職員を懲戒免職にしたと発表。Aは情報を売却などしておらず、むしろ話のネタに使っていた」(地元記者)

5月の会見で情報流出を謝罪

 調査では、別の40代女性職員Bの関与も浮上した。

「BはAと仲がよく、部署内のPCで閲覧した個人情報を渡していた」(同前)

 件数としては、多く見積もっても十数件だったとされるが、問題はその中身。

「通院歴、結婚歴、出産歴など市の懲戒処分の指針では、『秘密漏洩』に当たる最重要の個人情報が含まれていたのです。調査担当の女性総務課長は事態を重く見て、Bを懲戒免職にする方向で7月15日に懲戒審査会を開こうとした」(市幹部職員)

 ところが審査会が開かれることはなかった。

「野田武則市長が、『その処分の決裁に判子を押さない』と宣言したのです」(同前)

釜石市の野田武則市長

「Bは昔、市長の愛人と言われていた」

 野田市長は父も釜石市長を務め、本人も四期連続無投票当選を続ける人物。鶴の一声は重く、処分は「停職3カ月」で、8月26日に公表することが決まった。

 話はここで終わらない。Bが調査の過程で総務課長からパワハラまがいの恫喝をされた、と逆に訴え出たのである。総務課長は否定したが、「市長はBを信じると言ったそうです」(同前)。

 憤った総務課長は、退職届を提出した。

「市役所内ではBは昔、市長の愛人と言われていた。秘書だけど職員の間では『2人で出かけていったから今日は帰ってこないぞ』って。2人一緒の姿を見たのは私だけでねえから」(元市職員)