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「高校生のときに『ベルサイユのばら』というタイトルはもう決めていた」池田理代子が語る原稿料が“男性作家の半分”だった時代

池田理代子×三浦しをん#1

2022/09/09

source : CREA WEB 2022秋号

genre : エンタメ, 読書

note

オスカルの自由な姿がストレス解消になっていた

三浦 時代を先取りした、斬新な設定だったと思うんです。「女のくせに」とオスカルに突っ掛かってくる人物もいますが、性別とは関係のない“人間としての魅力”をフラットに認める人物も大勢出てきて、希望を抱けたというか。

池田 連載していた当時は絶対的な男性社会でした。どこにいってもセクハラがあり、原稿料も人気とかは関係なく、女性マンガ家は男性マンガ家の半分でした。

三浦 あまりにひどい話……。

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連載開始の頃の「週刊マーガレット」21号の表紙に使われた『ベルばら』のイラスト ©池田理代子プロダクション

池田 でしょう。それはおかしくないですかと編集長に聞いたら、「家族を養う男が高いのは当たり前ですよ」みたいな顔をされまして。そういう時代だったとはいえ、女性が軽く扱われるのも、これは女のもの、あれは男のものと分けられるのも悔しくて。オスカルが馬に乗り、剣を使い、自由にふるまう姿を描くのが、ストレス解消になっていた部分はあります。

三浦 読者にとってもそうです。オスカルが〈女 女とさわいでいるが、(略)実力でわたしにかなう者がいるか!?〉というシーンは、すごくスカッとしました。

池田 オスカルが言ってることはほとんど、最後の最後まで私自身の信念の言葉だなあと思うんです。私が言いたいことを代わって言わせる、そういうツールとしても彼女は活躍してくれましたね。

text:Asako Miura


池田さんがマンガだけでは食べていけずにアルバイトをしていた時代、三浦さんが考える“結婚相手としてのルイ16世”など、対談全文は『CREA』(2022年秋号)に掲載されています。

INFORMATION

誕生50周年記念 ベルサイユのばら展
ーベルばらは永遠にー

連載当時の原画とエピソード編の原画約180点を公開。オスカルが生涯に一度だけ着た舞踏会のドレスも展示される。コミック版のみならず、宝塚版やTVアニメ版の魅力にも迫る。ベルサイユ宮殿をイメージした、華麗な会場エントランスにも注目。

会期:9月17日~11月20日
◯10時~22時(最終入館21時) 
◯¥2,200 ◯03-6406-6652
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52F)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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