日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をお届けする人気コラム「丸の内コンフィデンシャル」。月刊「文藝春秋」2022年10月号より一部を公開します。
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将来の社長候補の筆頭だが……
みずほで「ラスプーチン」と恐れられる人物がいる。持株会社みずほフィナンシャルグループ(FG、木原正裕社長)の上ノ山信宏取締役兼執行役人事グループ長だ。
奇怪な風貌で知られた怪僧ラスプーチンとは違って、上ノ山氏はバンカー然とした紳士。その立ち居振る舞いや権力掌握術が「ラスプーチン」を彷彿とさせるという。
東大工学部出身の同氏は、1991年に旧日本興業銀行に入行。FGのグループ人事部副部長や営業第九部長、取締役会室長などを歴任したエリート中のエリートだ。同じ興銀出身の坂井辰史前社長からの寵愛を受け、将来の社長候補の筆頭に挙げられていた。
そんな上ノ山氏が目下、取組んでいるのが抜本的な人事制度改革だ。中堅・若手社員で構成する「企業風土改革ワーキンググループ」を立ち上げ、そのトップに上ノ山氏が就いている。
企業風土改革WGは、2カ月に一度のペースで上ノ山氏を中心に、志願した中堅・若手社員十数人が参加する。だが、「フリーハンドの議論にもかかわらず、上ノ山氏は気に入らない発言者に対して露骨な態度をとり、物言えば唇寒しの雰囲気だ」(みずほ関係者)という。
企業風土改革は、いうまでもなく昨年来のシステム障害の反省に立った施策であり、今年2月からFG社長に就いた木原氏が取組む最重要課題にほかならない。
企業風土改革WGは今年度中に課題を洗い出した上で、報告書をまとめ、役員に報告する予定だ。
金融庁は、システム障害時の業務改善命令において、みずほの企業風土を「言うべきことを言わない。言われたことだけしかしない姿勢」と痛烈に批判した。この企業風土改革WGの様子からも、その根深さはうかがい知れる。