対して、先進型のシステムとしては、ヒョンデやキアが導入している「センサー方式」がある。超音波センサーにより、停車後の車内における動きを検知し、ホーンやスマートフォンアプリによる通知を行う。
今後の応用性を考えれば、やはりセンサー方式が望ましい。近い将来、超音波センサーのほかレーダーやカメラを用いたモニタリングシステムにより、乗員の体温に連動したエアコン制御や、自動の緊急通報などが可能になれば、事態の深刻化を防げるケースも増えるはずだ。
センサー方式など新たな検知システムの導入について先のメーカーに尋ねたところ、ホンダからは「状況を鑑みながら検討」、トヨタからは「電波や画像などを含むセンサー方式も検討しているが、導入に向けては、技術的な長所と短所等を含めて総合的に検討」という旨の回答が返ってきた。
「欧州基準の安全性」には「センサー方式」が必須に
現状では慎重な構えを示す国内メーカーだが、安全性能評価の基準から言えば、センサー方式への移行は必定である。ユーロNCAPが原案として示すCPDの評価基準においては、国内車種のようなドアロジック方式の評点は極めて低く、2025年以降はそもそも評点が与えられなくなる見通しである。
つまり、センサーなどでダイレクトに人の動きを検知したうえで、段階的にホーンやウインカーによって周囲にアラートを発したり、窓やエアコンを自律的に操作したりといった機能がなければ、ユーロNCAPにおいて高評価を得ることが難しくなるのである。欧州市場に適合させるうえで、国内メーカーがこの点をなおざりにするとは考えにくい。
しかし、技術的にセンサー方式への移行を実現したとして、問題として残るのは、これが普及価格帯の国内車種にも標準搭載されるかどうか、という点である。ドアロジック方式でも普及が進んでいない国内市場において、より高度なシステムが積極的に導入されるかは疑わしい。