『60歳すぎたらやめて幸せになれる100のこと』宝島社

「お風呂の排水口の掃除って本当に面倒」

「うちは排水口のふたを取っちゃったわよ。そうしたら掃除がすごく楽」

 このようなちょっとした会話の中で、へぇ、そういう方法もあったのかと思うような「よそのお宅のやり方」を知ることがある。

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 本書のスタイルはそんな井戸端会議に似ている。巻頭の中尾ミエさんを始め、主婦、ファイナンシャルプランナー、精神科医など、様々な肩書きの人たちの「手放してよかったこと」を紹介。内容は《冠婚葬祭》《夫の親への連絡》《孫の子守り》《白髪染め》など、生活の隅々に及ぶ。《排水口のふた》もその1つだ。

「男性向けの雑誌で『やめて正解だったこと』を紹介した記事を見たのが企画のきっかけです。読み進めるうちに、いやいや女性の方がもっとたくさんのやめてよいことを抱えているはず! と思って」(担当編集者の小山田千世さん)

 発売日から「あれよあれよと売れた」そうで瞬く間に大ヒット。ムック形式、かつ各項目の短さも気軽に読める、と好評だという。

「60代より上の世代には、若い世代がとっくに捨てた習慣にまだ真面目に取り組み、周囲に尽くしている人が多い。でもそろそろ余計な荷物を1個でも下ろして身軽になり、『老後』ではなく『新しい自分』を生きてほしい。そんな思いを込めました」(小山田さん)

2021年11月発売。初版部数3万部。現在14刷54万部