『心をととのえるスヌーピー』(チャールズ・M・シュルツ 著/谷川俊太郎 訳/枡野俊明 監修)光文社

 スヌーピーをはじめとする愛らしいキャラクターたちの奥深いやりとりが魅力的なアメリカの国民的人気コミック『ピーナッツ』。日本にも谷川俊太郎氏の翻訳で上陸し、半世紀以上愛され続けている。その膨大な作品の中から厳選したエピソードに「禅の言葉」を組み合わせて解説した、斬新な名言集がヒット中だ。

「『ピーナッツ』は多くを語らず、シンプルな絵とセリフで読み手に何かを考えさせる作品です。そこに禅の思想に通じるものを感じ、本書を企画しました」(担当編集者の福生さん)

 作者の性格の一面を少しずつ分け与えられているという多彩なキャラクターを可能な限り網羅。『ピーナッツ』に詳しくない人も、長年のファンも楽しめる作りを目指した。ひと目で禅の言葉との結びつきがわかる組み合わせもあれば、スヌーピーと人気キャラクターのウッドストックが雨中で出会うコミックに合わせた「我逢人(がほうじん)」のように一捻りある組み合わせも。読み込むことで味わいが深まる。

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「スヌーピーのファンは50代の女性が多いですが、本書は60~70代の読者にも支持されています。大人っぽい和の雰囲気の装丁にしたことで、より広い世代の方に届きやすくなったのかもしれません」(福生さん)

 複数冊購入し、周囲に贈った男性読者もいたとか。たしかに老若男女問わず、贈られて嬉しい本だろう。

2021年9月発売。初版7000部。現在12刷11万部