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“ハイスペック人材”にならないと生き残れない? OECDの“ものさし”から抜け落ちているもの

『子育ての「選択」大全』#2

目的は「正解」を教えることではなく…

「正解」を教えることが目的ではありません。どんどん疑問を膨らませてあげることのほうがよほど大事です。正解なんてわからなくても、「よくそんなこと思いついたね! なんでだろうね? 不思議だね」って、いっしょに感動しながら好奇心を搔き立ててあげればいいんです。

「そこでいっしょに図鑑で調べましょう!」みたいに書かれている育児本もたくさんありますが、「そうすれば頭のいい子になる」みたいな下心はあまり抱かないほうがいいというのが私の仮説です。賢い子ほど大人のそういう下心を見抜いて、せっかくの純粋な好奇心がしぼんでいき、逆に大人から評価される自分になろうとしてしまうからです。

 思春期は中世・近代人です。高度に抽象的な思考ができるようになり、世の中の疑問を論理の力で解き明かしていく力を身につけます。ですから、中高生の時期には、中世・近代の科学者がしたような原始的な理科実験をたくさん経験して、科学的な感覚を体に刷り込むことが大切です。つまりこの辺は理系の話です。

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 自我に目覚め、人権や自由などという概念についても理解します。つまり、本格的に哲学できるようになります。だから、既存の価値観に対しても片っ端から疑ってかかります。

 それが反抗期です。反抗期がないということは、その力が育っていないということですから、気をつけてください。つまりこの辺は文系の話です。

 中高生くらいまでは、理系・文系のどちらかに偏ることなく、どちらも学ぶことが現代人になるための土台として大切です。

 大学生くらいになると、ようやく現代人です。現代人としての知のフロンティアを拡大したり、現代の社会環境から糧を得る方法を考えたりします。時代の変化が影響するのはこの最後の段階だけです。

 ただしこの時期だっていわゆる「青年期」であり、まだ一人前とはいえません。「新米現代人」としてたくさんの失敗を経験します。学業のこと、仕事のこと、そして失恋も。

 でもそれも一人前になるために必要不可欠な経験です。失敗して、落ち込んだときに、振り向いたらそこに、「養育者」としてではなく「先輩現代人」として、親がいてあげられればいいんです。

 幼児期に焦って現代人のまねごとなどさせる必要はありません。そんなことをしたら人類の進化の階段を踏み外すことになります。「その時期にしかできないことをする」。それが教育における選択の大原則です。本書に掲載されているさまざまな選択をするときにもその観点を忘れないでください。

 これ、VUCA時代の親に必要なリテラシーの5つめです。

“ハイスペック人材”にならないと生き残れない? OECDの“ものさし”から抜け落ちているもの

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