そもそも出版社にとって、オリンピックスポンサーというのは決して“成功が約束されたビジネス”とは言いがたい。それでもKADOKAWAが前のめりだったことには理由があるという。
「KADOKAWAは、いわゆる“普通の出版社”ではありません。自社のことをメガコンテンツパブリッシャーと名乗ることもあるように、本や雑誌以外の多くのジャンルに手を出していて、映画やゲーム、そして最近は海外展開に熱を入れていました。昨年からは『クールジャパンを発信する』という名目で、羽田空港から所沢への高速バスがサクラタウンを経由するようにもなっています。しかし現状は『ジャンプ』がある集英社などに大きく後れを取っていて、オリンピックで巻き返したかったのでしょう」(同前・関係者)
KADOKAWA本社で家宅捜索が行われた6日は会議室を大勢の検察関係者が占拠し、社内をウロウロしている状況だったという。社員に対して会社からは「検察の方に声をかけられたら正直に話してください」という“お達し”も下っていた。
「KADOKAWAはドケチで有名ですが」
家宅捜索は短期間で終了したものの、社内の混乱は収まっていない。
「作家や読者の印象は最悪ですし、社員としては『何やってんだ』という感想です。オリンピックの公式ガイドブックだって、せっかく印刷したものが延期の影響で無駄になったこともあり当然赤字。いざ発売しても売れ行きが悪く、社内に山積み状態で放置されていました。KADOKAWAは本や雑誌の予算がドケチなことも有名ですが、効果もわからないオリンピックのスポンサー費に2億8000万円、賄賂で7600万払って結局逮捕者が出ただけなんて……」(同前・関係者)
7日にはオリンピックスポンサーの「パーク24」本社にも家宅捜索が入り、森喜朗元首相も参考人として聴取を受けている。贈収賄疑惑が収まる日はくるのだろうか。