『CREA 2022秋号』は、35名のマンガ好き著名人の投票で選ぶ「夜ふかしマンガ大賞」の発表号! その中から、ライターの山脇麻生さんが選んだ「女の人生部門 女性を取り巻く難題に切り込む意欲作」の一部を紹介します。
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政治や企業などの重要な意思決定の場に男女格差が表れやすい日本。女性の声が反映されにくいことは生きづらさに直結しますが、それを照射した頼もしいマンガが次々に生まれています。
注目は創作と性加害を描いた渡辺ペコさんの『恋じゃねえから』。被害者だった友人と傍観者だった主人公の“その後の痛み”に苦しくなりますが、覚悟を決めた彼女たちの行動が心地いい緊張感を生み、ページを繰る手が止まりません。
やまじえびねさんの『女の子がいる場所は』は、国も文化も宗教も違う世界各地の少女が、女の子だからというだけで置かれている理不尽な状況を描いた作品。それでも彼女たちの心に灯る勇気に、シャンとこちらの背筋も伸びます。
ルッキズムが引き起こす社会的障壁を一方向からではなく、複数の視点から描いたとあるアラ子さんの『ブスなんて言わないで』も、いま読んでおきたい一冊。外見が題材の作品して、10代の心ざわめかせる状況を丁寧に掬い上げ、かつエンタメとしてのドライブ感も失わず未来に繫げたもぐこんさんの『推しの肌が荒れた』も初作品集とは思えない充実ぶりです。
ここに挙げた作品は、「〇〇だからこうすべき」といった社会の圧に屈さず、自分の感情を大切にする勇気をくれます。また、女性があらゆる場面で感じる痛みが丁寧に言語化されているので、胸のモヤモヤが晴れ、今まで以上に視界も開けることでしょう。