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「みなさん誤解しています」西武・山川穂高がどうしても伝えたい“全打席ホームラン狙い”の真相

文春野球コラム クライマックスシリーズ2022

2022/10/13
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打撃の教科書に載せたい「山川理論」

 そこまで深く聞かせてもらったので、野球少年・少女へのアドバイスを何か聞かせてもらうことにしました。

「野球をやっている小、中……高校くらいまでかな。ちょっと社会人、大学は難しいんだけど」という前振りがあった上で、「ヒット狙いみたいなバッティングはしないでほしい」という話になりました。いわゆる軽打みたいな形です。

「僕が考えるバッティングは、ボールにバットを当てることではなく、バットを振ることだと思うんです。だから素振りが大事なんです。練習するには順序があって、まずはバットを自分の形で振れる。そうしたら、ティーバッティングでそのスイングができる。次にトスバッティングで前からボールが来て、そのスイングがちゃんとできる。次に試合で速いボールや変化球が来ても、自分のスイングができる。そういう人が『バッティングがいい』と僕は思います」

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 ギータさん(柳田悠岐)、吉田正尚、岡本(和真)、村上(宗隆)もみんな、いい形でバットをしっかり振れるから打てる。そういう話でした。当てにいくバッティングでは成長がないと思うから、小中学生にはしっかり振ってほしいと。

 これが「山川理論」です。バッティングの教科書に載せたいくらいだと思いました。

 山川選手がいろんなことを考えてバッティングをしていることはテレビ局の人や新聞記者、ファンの人もわかっていると思います。でも、言葉にここまで出せる選手はあまりいないですよね。それをテレビ埼玉という限られた人にしか見られない局の番組で、“魂の訴え”みたいに話してくれたことが本当にうれしくて。

 本人の口で言っていることが、テレビでは映像で見られるわけじゃないですか。やっぱり山川選手の口から直接聞くと、説得力が違うんですよ。「テレ玉オンデマンド」という動画配信もあるので、放送圏外の人もぜひ見てください。山川塾長による講義を受講した気分になりますよ!

有言実行の山川に来年期待すること

「そういえばこれ、月間MVPのインタビューでしたね。すいません(笑)」

 ファンの方にメッセージをお願いすると、山川選手はそう言いました。

「投票してくれたのは嬉しいけど、僕は月間より年間MVPが欲しいので、取材で言ったことをブレずにやっていきたいです」

 春先にそう話していて、実際、41本塁打で3年ぶりのホームラン王になりました。「ライオンズチャンネル」ではファンが選ぶ年間MVPの投票を毎年やっていて、おそらく今年も行われると思いますが、個人的には筆頭候補だと考えています。

「山川のお尻が決まれば、優勝も決まる」は……残念ながら実現されませんでした。ライオンズは夏場に巻き返して首位に立った一方、最後は3位に終わり、CSでも悔しすぎる結末を迎えました。でも、山川選手が最後に意地を見せてくれて、来シーズンにつながる部分もあったと思います。

 期待したいのは三冠王ですね。ホームランはある程度打てるでしょうし、打撃の理論がこれだけしっかりしている選手ですから。特技の書道やピアノを見ても、「そんなことできるの?」ってビジュアルからは想像つかないくらい器用な人です。すごく繊細な部分も持っていますしね。

 そう考えると、来年は三冠王を見たいですね。山川選手がそれだけ打ってくれれば自ずとチームの成績もついてきて、今季の悔しさを晴らすことができるはずだと思っています。

構成/中島大輔

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