まずは文春野球コラム日本シリーズ2022、横浜DeNAベイスターズ悲願の初優勝がすでに決定したとのことでこれはこれはおめでとうございます。

 7戦目のアンカーご指名とはなんたる責任を押し付けられたかと青ざめておりましたら早々に我らベイスターズが日本一に輝いたとのこと、執筆時点で私の出番は消化試合となることがわかり重圧が減って肩が随分と軽くなりました。  

 クライマックスシリーズ1stラウンドでの敗退、藤田選手のヘッドスライディング姿が切なく今も目に焼きついています。

ADVERTISEMENT

 それにしても今シーズンのベイスターズは見応えがありました。面白かった。そして強くなった。球団記録となった本拠地17連勝にはご想像の通り私も狂喜乱舞し、醒めない夢の中にいるような歓喜の陶酔に浸っておりました。うなぎ登りに順位を上げて首位にこそ及ばなかったものの堂々リーグ2位でシリーズを終える大躍進となりました。

新生ベイスターズの覚悟が見て取れたシーズン

 It’s hard not to be romantic about baseball.
 人は野球に夢を見る。

 『マネーボール 』(マイケル・ルイス)

 2022年の横浜DeNAベイスターズに私は確かなチームの覚醒を見ました。変革と転換に成功し、勝つべくして勝ったという印象が残ります。

 三浦体制2年目にしてやっとロジックが噛み合ったという表現が正しいでしょう。改革には痛みが伴うもので、その痛みが試行錯誤と調整の過程にあった昨年の最下位という結果だったのだと思います。今季序盤まではまだハマってない感じも散見されましたが、信じて実行した結果として遂に理論が実地で機能するようになったものと私は感じています。そのスタイルは質実剛健。そしてあのホーム17連勝。

 私には快進撃がブラッドピット主演の野球映画『マネーボール』に重なって見えました。作中のアスレチックス旋風を想起させる展開だったと思います。これまでのやり方を捨て、やり続ける。揺るぎない信念なしに達成できることではありません。

 宮﨑選手の送りバントなどこれまでに存在しなかった選択に新生ベイスターズの覚悟が見て取れました。そしてメンバーのスペックが最大限に活きる几帳面な野球が完成し最も合理的で機能的なチームに仕上がったのです。

 桑原選手、大和選手、大田選手、佐野選手、牧選手、宮﨑選手、良いバランスを保ちながらそれぞれの選手が輝きを放ったシーズンでした。

 ルーキーイヤーから抜群の成長を魅せている牧選手。こんなに早くチームの主力として確立するなんて思いませんでした。横浜の新4番、24本のホームランを放ちチームを引っ張りました。

 佐野選手は3年連続打率3割達成、安定感のある打撃センスで最多安打のタイトルを獲得。素晴らしい働きを見せてくれました。

 宮﨑選手は序盤の出遅れ感を拭い去る奮闘。頼れるベテラン、安心感が違いますね。精神的支柱としてチームに素晴らしい影響を与えているように感じます。

 来シーズンはソト選手、オースティン選手はじめ外国人勢の活躍にも望みを持ちたい。

 そしてフレッシュな新人達の入団、ドラフト1位指名の松尾汐恩選手もやってきます。高校通算38ホームランに18歳以下のワールドカップベストナイン選出と、光る逸材に期待は膨らむばかりです。

 こういった新しい戦力にも期待したいですね。

 獲得の裏に大きな喪失が、あるかもしれないので。