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軟派なイメージから大人の雰囲気へ…23歳だった福山雅治を形作った「四角関係」と、15年後の「再会」とは

2022/09/16
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若き日の福山の姿が記憶に残る『ホームワーク』

 そんな福山の俳優としての出世作と言えるのが、大ヒットドラマ『ひとつ屋根の下』(1993年)であるが、私はあえてその前年に出演した『ホームワーク』(1992年)を挙げたい。

 当時23歳だった福山は本作で、元彼・圭介(唐沢寿明)への想いを断ち切れない恋人・うらん(浦江アキコ)に複雑な思いを抱えたナイーブな青年・周二役を好演。最終回では、雪の降るクリスマスの中、周二とうらんが、圭介と一緒に歩く周二の元カノ・幸子(清水美沙)と街で偶然遭遇する。

『ホームワーク』TBSチャンネル公式サイトより

 圭介、うらん、幸子の3人は、いろいろなことがあったものの言葉を飲み込み、「メリークリスマス」とだけ声をかけるが、周二だけはその言葉を口にせず、二組のカップルがそれぞれの道を歩いていくラストシーンが印象的だった。なお、このドラマで共演した唐沢とは15年後、『ガリレオ』第1シーズン第1話で再び共演を果たしている。

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 福山はその後、シンガーソングライターとして大きく飛躍していくと同時に、俳優としても着実にキャリアを積み重ねていく。『ホームワーク』は、そんな彼の未来を予感させる演技を垣間見ることが出来る作品と言える。

 フジテレビ“月9”枠の『いつかまた逢える』(1995年)、『パーフェクトラブ!』(1999年)、『ラヴソング』(2016年)、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)、そしてTBS日曜劇場『集団左遷!!』(2019年)と、各テレビ局の看板とも言えるドラマ枠で主演を務めてきた福山だが、続編が作られた主演作は『ガリレオ』のみとなっている。

役のイメージをアップデート出来る俳優

『ガリレオ』で福山が演じるのは「実に面白い」「さっぱり分からない」といった耳に残るキラーフレーズと共に、すべての現象を科学的かつ論理的に検証し、埋もれていた真実を導き出す天才物理学者・湯川学。

『容疑者Xの検診』(2009年)/アミューズソフトエンタテインメント

 2007年に初めてテレビドラマ化された本作は、2013年に第2シーズンが放送。これまでにスペシャルドラマ2本、劇場版2本が制作され、『沈黙のパレード』公開翌日の9月17日(土)には9年ぶりの完全新作となるスペシャルドラマ『ガリレオ 禁断の魔術』(フジテレビ系列)が放送される。

 改めて『ガリレオ』第1シーズンの第1話を見返してみると、今の湯川と決定的に異なるのがその髪型である。今から15年前の作品ということもあり、この頃の湯川はファッショナブルで、ともするとやや軟派なイメージすらあった。