東野圭吾原作、福山雅治主演の『ガリレオ』シリーズ劇場版最新作『沈黙のパレード』が9月16日(金)から公開される。
幸運にも私は3年ほど前から年に1、2回、週刊SPA!で彼にインタビューをする機会に恵まれてきた。そこで、これまでの会話の中から伝わってくる彼の人柄を紹介すると共に、改めて「俳優・福山雅治」について考察してみたい。
福山雅治でも…「何事も思い通りにならない」?
福山に初めてインタビューをしたのは、彼がちょうど50歳で主演を務めたドラマ『集団左遷!!』(2019年)で、組織の壁に立ち向かう銀行員・片岡洋を演じた時だった。
場所はTBS緑山スタジオ。撮影の合間を縫ってのインタビューだったにも関わらず、時間を割いてしっかり自分の言葉で話すだけでなく、ウィットに富んだエピソードを交えながら、適度な緊張感と共に心地よい時間を提供してくれた。それ以降も変わらず同様の対応を重ねてくれていることからも、彼が根っからのエンターテイメント精神の持ち主であることは容易にうかがえる。
そんな彼が、今回『沈黙のパレード』でインタビューをする前、「中村さんの記事はいろいろな媒体でよく見かけます」と、初めて名指しで声をかけてくれた。どうやら、彼の言葉を借りて『鎌倉殿の13人』で源頼朝を演じた大泉洋を評した記事(「まさに時代が求める男」福山雅治も激推しする『鎌倉殿の13人』源頼朝役・大泉洋の“究極の素人芸”)を見たらしい。ライターにとってこんなに嬉しい言葉はないが、同時にその目が細部にまで行き届いていることに驚いた。
これはあくまで想像だが、おそらく彼は人間の弱さ・脆さ、一人で出来ることの限界を誰よりもセンシティブに受け止めており、それをクリエイティブの源泉の一つにしているのではないだろうか。
これだけの経歴と実績を重ねながらも、先述のインタビューでは「何事も思い通りにならない」「狙った通りにはいかない」と語った福山。端から見れば成功し、何もかも手に入れていると思うのだが、そんな彼をしてもゴールになどまったく到達していないと感じていることに、私は少なからず衝撃を受けた。
だからこそ彼は、自分を信じてついて来てくれているファンやスタッフからの“信頼”に、“感謝”を込めた歌や演技、パフォーマンスで必死に応えようとし続けているのだ。その相乗効果によって、言葉では言い表せない想像を越えた深い感動が生まれ、老若男女問わず多くの人が心を惹きつけられるに違いない。