「本日、自ら辞意を表明していただくようお願いしました。ところが、頑なに『もう一度やらせてください。チャンスを与えてください』と。どうしても自分でお辞めにならないとのことでしたので、私の方から決断して『今日、西詰さんとの契約を解除します』とお伝えしました。よって西詰さんは本日付けで監督を降りることになりました」

 春夏合わせて7回の甲子園出場を誇る兵庫県神戸市の滝川第二高等学校が、西詰嘉明監督(52)の壮絶なパワハラ問題で揺れている。

セガサミー時代の西詰嘉明監督

 瀧川稔朗理事長による“解任発言”が飛び出したのは、9月9日の夜に校内の図書室で行われた緊急保護者会の席でのことだった。

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 ことの発端は今年4月頃、新型コロナウイルスに感染した2年生部員に対して、「(生徒の名前)+菌」と汚物のような扱いをしたり、選手に「殺すぞ」と発言していたことだった。2人の顧問教員からも、生徒の前で「教師辞めてしまえ」と叱責されたと申告があるなど、西詰監督の暴言やパワハラ行為が問題化していたという。

「高野連に報告していなかったとすれば問題があるのでは」

 しかし学校側は6月に西詰監督のパワハラを把握していたにもかかわらず、高野連に報告せず夏の兵庫県大会に出場していたことが文春オンラインの取材でわかった。スポーツ紙記者が語る。

滝川第二高校は2015年の夏が、最後の甲子園出場 ©時事通信社

「生徒や教員らの訴えによってパワハラ問題が発覚し、学校は西詰監督に聞き取り調査を行っています。西詰監督は『菌という言葉を使ったことはない』と一部を否定したようですが、遅くとも6月には学校側は複数の生徒らからの聴取で暴言を認定。監督も生徒や教員らに謝罪し、10日間の謹慎処分を受けています。完全に野球部内で起きたトラブルですから、高野連に報告していなかったとすれば問題があるのでは」

 滝川第二高校の野球部は、3学年合わせて部員数62人を擁し、プロ野球選手も輩出している名門校だ。しかし2015年の夏を最後に甲子園から遠ざかっており、強豪復活のために白羽の矢が立ったのが、1987年に同校が甲子園初出場を果たした時のメンバーである西詰前監督で、昨夏と今夏は兵庫県で2年連続ベスト8に進出している。