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「滝川第二は大阪桐蔭などと同じいわゆる“文武別道”の学校で、野球部やサッカー部が多いCコースと進学コースでは偏差値が20近く違います。なので部活が機能停止すれば、Cコースに通う生徒や保護者にとってはこの学校に通う理由がほとんどなくなってしまうのが現実。だからこそ学校は夏の大会に出られなくなる可能性を恐れて高野連に報告できなかったし、保護者の中にも問題解決より部活の続行を求める声があるのでしょう。根深い問題です」

滝川第二高校の公式サイトでも、Cコースでは野球部の存在がアピールされている

 さらに保護者会では、西詰監督の新たな不適切な行為も公表された。学校関係者が、匿名を条件に西詰監督が野球部を“私物化”していた様子を明かす。

「西詰監督が野球部の宮崎遠征に部員たちをバス移動させておいて、自分だけ飛行機で往復したことも保護者会で理事長が認めました。他にも、監督就任直後にOBや保護者に相談することなく独断で伝統のユニフォームを変更したり、野球用具の取引先を地元の店から監督の親族が勤務する東京のスポーツ用具店に変更したことが学校内でも問題になっていました。3年生は、夏の試合のためだけにユニフォームを買わされたようです。監督は日頃から部員に挨拶などの礼儀を厳しく要求していましたが、試合の応援に駆けつけた保護者に挨拶しているところを見たことがありません」

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学校側は「お答えは、差し控えさせていただきたく存じます」と回答

 滝川第二高校に対して、兵庫県大会まで高野連に報告しなかったこと、野球部の用具の取引先変更などについて事実確認を求めると、以下のような回答があった。

「前監督によるハラスメントに関して、本校が把握し調査した結果は、すべて高野連へ報告を上げており、現在高野連においてご審議いただいている最中です。また、前監督は、9月9日付けで契約を解除し、既に本校との関係を絶っております。そのような事情から、ご照会いただいた個別の事項についてのお答えは、差し控えさせていただきたく存じます」

 西詰前監督はームページで指導方針についてこう語っていた(現在は削除)。

《高校3年間は人間形成のもっとも大切な時期でもあります。野球の技術はもちろんのこと、人としての成長も期待していただけるような指導者として精進する所存です。生徒とともに私自身もしっかりと学び「技」と「心」を磨き甲子園出場、“全国制覇”という高い目標を持ち日々練習に取り組んでまいります》

滝川第二高校が保護者に向けて発表した新体制の連絡書面

 暴言を吐いて監督就任からわずか1年半でクビになった前監督と、不祥事を高野連に報告しなかった学校経営陣らの行動は、高校球児たちの真っ直ぐな目にどう映ったのだろうか。