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 平昌オリンピック開催中の平均気温はマイナス4.8度で、最低気温は平均でマイナス9.8度になると予想されている(韓国気象庁)。数字だけを見ると、それほどの寒さではないと思えるかもしれないが、強敵は肌を切るような風だ。当地の名産物・スケトウダラの干物はこの強風を生かして作られているほどで、風によって体感温度はぐぐっと下がる。

 風速1メートル/秒で体感温度は1度下がるとも言われるが、大会期間中の平均風速は4.6メートル/秒。例えば気温がマイナス5度でも、風によって体感温度はマイナス10度、気温がマイナス15度だとマイナス20度にも感じられることになる。このためオリンピック組織委員会では、開幕式の観覧客全員に毛布、使い捨てカイロなどの防寒5点セットを配る予定で、メインスタジアムの周りには追加の野外用暖炉や防風幕を急ピッチで設置しているという。

五輪ムードの役所。大会期間中、ここに平昌郡主が常駐する 撮影/筆者

宿泊費の暴騰を批判する報道も

 街には新しく建てられたビルも目立った。そのほとんどがオリンピック期間中の滞在客を当て込んだマンションや宿泊施設で、宿泊費が通常の3~10倍にも跳ね上がっていると批判する報道が出ていた。

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 そんな話を町内の古ぼけたモーテルで訊いてみた。玄関前には客用のフェイスタオルだろうか、きれいに並べて干してあったが、寒さで凍ってごわごわと風に揺れていた。

「新聞とかで宿泊費が暴騰しているなんて書かれたけど、うちは1泊15万ウォン(約1万5000円)。適正価格ですよ。普段より2~3倍くらいに引き上げたところもあるみたいだけどね。でも、北京オリンピックでは10倍、ロンドンオリンピックでも3倍に値上げしたっていうから、オリンピック景気でしかたないでしょ。

 うちも古いけど、2月の予約が埋まってホッとしている。いよいよオリンピックなんだから、もっともっと国全体で盛り上げてほしい」

 外国からの観光客を迎えるために、平昌郡庁では「グッドマナー運動」を提唱しており、イベントも行われたという。

「新年の辞」を伝える韓国のニュース番組。テロップには「韓国には“対話提案” 米国には“核圧迫”……背景は?」 撮影/筆者

金正恩が「新年の辞」で明かしたサプライズ

 地元がじわじわと盛り上がりを見せる中、年が明けた1月1日、北朝鮮の金正恩第一書記は「新年の辞」で、「(平昌オリンピックが)成功裏に開催されることを心から願う」とした上で、「北朝鮮から代表団の派遣を含めて必要な措置をとる用意がある」とサプライズ発言。

 米国へは、「核のボタンは私の事務所の机上にある」と引き続き強硬な発言に終始し、金正恩第一書記の意図を巡って各国は米韓引き離しにかかっているなど騒然となった。しかし、4日にはトランプ米大統領が文在寅大統領との電話会談で、平昌オリンピックに代表団と家族を送ると話し、北朝鮮が実験を行わない限りオリンピック期間中は米韓軍事演習の実施も見送ることで合意した。

 開幕までひと月あまり。

 平昌オリンピックは、どんな大会として歴史に記されることになるのだろうか。