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 大関嶺面の人口はおよそ6000人。寒冷地野菜やスケトウダラの干物が特産品として有名で、羊牧場、スキー場などの観光産業がメインの、1時間もあれば車で全体を回れるほどの、韓国東北部の小さな町だ。

 ソウルからは東に約200㎞離れていて、車では2時間半ほど。昔は、この大関嶺を越えずに死ねないとまで言われた韓国を東部と西部に分ける要所だった。平昌オリンピックのために2016年11月に開通した第2嶺東高速道路から平昌に続くメインの嶺東高速道路は快適だが、トンネルが多く、昨年末はそのトンネル内の最終点検が行われていた。

 また、オリンピックと合わせて昨年12月22日には、韓国の新幹線KTXもフィギュアスケートやアイスホッケーなどの競技が行われる江陵(カンヌン)市まで開通した。期間中限定で仁川と最短2時間37分、ソウルとは2時間弱で結ばれ、大関嶺面には途中の珍富(ジンブ)駅からタクシーで20分ほどかかる。

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オリンピックの選手村 撮影/筆者

携帯のバッテリーは寒さであっという間に減る

 昨秋に訪ねた時は、街全体に工事現場のような砂埃が舞っていたが、今では道路も整ってきた。各店舗の看板も掛け替えられて、こぢんまりとした落ち着いた雰囲気になっていた。

 メインスタジアム近くにあった小さな記念品店に入ると、チマチョゴリ風のエプロンやオリンピックマスコットのキーホルダーなどが所狭しと並んでいた。そろそろ客足も増えていて、国内のスキーヤーやオリンピックの下見に来ている欧米人などが多いという。

 店番をしていたのは地元出身の大学生で、せっかくだからオリンピックに関わりたいと帰省した。

「やっぱり地元でオリンピックが開かれるからには参加したいですよね。ただただ無事に終わってほしい」

 そう語る彼女に寒さ対策をどうしているのか訊くと、「地元住民は寒さに慣れているから」と言いながらも、冬の気温が下がる日はロングダウンジャケット(膝下まであるダウンジャケット)と耳まで隠れる帽子(この上にさらにダウンジャケットのフードをかぶる)、手袋はもちろん必須で、冷えやすい足下には靴下を2枚重ねし、顔も冷気に触れないようフェイスマスクで覆うそうだ。

記念品店に並んでいる平昌オリンピックのグッズ 撮影/筆者

 そして、忘れてはならないのが携帯のスペアバッテリーや充電機器で、「外で電話しようものなら、寒さであっという間にバッテリーが減ります」と教えてくれた。

 そう、開催を前に今、平昌オリンピックで一番怖れられているのがこの寒さだ。