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小田和正75歳に 「引退のイメージはあるんでしょうか」と聞かれて…意味深な答えに込められた“真意”

小田和正75歳に 「引退のイメージはあるんでしょうか」と聞かれて…意味深な答えに込められた“真意”

9月20日は小田和正の誕生日

2022/09/20
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 小田が長年続けているものとしてはさらに、2001年より毎年暮れに放送されているTBS系の音楽特番『クリスマスの約束』がある。同番組では、小田がアーティストたちに自ら手紙を書いて出演を依頼してきた。初年度は全員に断られたものの、翌年以降もしぶとく試み、3年目に初めてゲストを迎えた。いまでは世代やジャンルを超えてアーティストたちが集い、歌い合う場としてすっかり定着している。それ以前より小田は、アーティストどうしが互いに認め合う場をつくりたいと、80年代半ばには日本版グラミー賞を創設すべく奔走するも、頓挫していた。その夢が形を変えながらも実現されたわけである。

「キラキラ」(2002年)

 70代に入っても、ほとんどキーも下がらず昔と変わらない歌声には驚くばかりだが、本人によればとくにケアはしてこなかったという。ただ、72歳から73歳になるとき、初めて声が出にくいと感じた。ちょうどコロナ禍で歌えない日々が続くなか、人としゃべる機会もなくなり、それまで毎日していた腹筋などもやめてしまった。

 このまま衰えて歌えなくなってしまうのかと思って医者に相談すると、「鍛えないと弱くなる。小田さんはいくら歌っても大丈夫」と言われ、もう一度、筋力を鍛え直し始めたという(「Yahoo!ニュース・オリジナル」2021年12月22日配信)。おかげで今年のツアーでも初日から花道を駆け抜けるパフォーマンスを披露し、会場を沸かせた。

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「引退のイメージはあるんでしょうか」と聞かれて…

 小田は現在まで、今回のツアーが最後だとか、このシングルが最後だとかいうことは一切公言していない。5年前、70歳になる直前のインタビューで「小田さんのなかには引退のイメージはあるんでしょうか」と訊かれた際も、《そこはね、へへへって、「へへへ」って書いておいてください(笑)。そんな感じですね》と答えていた(『「100年インタビュー」保存版 時は待ってくれない』)。

 昨年の藤森照信との対談では、数年前より、歌詞を押しつけがましくない程度に自然な情感を込めて歌うようになったという話から、《低い声も出るようになったので、全体的に落ち着いた曲を歌ってみたいなというのはあるね。最後は、『あれが終わりだったんだ』みたいな感じかな。間違っても最後のツアーとかは、なしだね》と、自らの幕引きについてさりげなく言及している(「建設通信新聞DIGITAL」2021年2月3日配信)。はっきりと区切りをつけるのではなく、自然とフェードアウトしていくような形を思い描いているのだろう。ファンとしてはまだ当分のあいだは、元気に花道を駆け抜ける小田和正を見ていたい。

小田和正75歳に 「引退のイメージはあるんでしょうか」と聞かれて…意味深な答えに込められた“真意”

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