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結婚詐欺師“白血病のピアニスト”に懲役4年6カ月 「保釈金300万円」を用意した女性の正体とは

「白血病のピアニスト」に騙された女性の告白 #2

2022/09/21

genre : 社会

 2022年9月16日、名古屋地裁で詐欺罪に問われていた男に判決が下った。河野孝典(47)。累犯前科がある結婚詐欺師で、懲役4年6カ月の実刑だった。河野は「白血病のピアニスト」を名乗り、交際中の女性から治療費名目で計777万3000円を騙し取った罪に問われていた。

 被害に遭ったA子さん(29)が、その一部始終を打ち明ける。

血液検査は正常値、担当医も実在しなかった

 2021年12月、A子さんは最終手段として(母親と)離婚した父親に借金を頼んだ。この頃、河野はすぐウソだと分かるような雑な行動が多くなり、返済をめぐってA子さんとしょっちゅうケンカするようになった。

 2022年1月、すでに河野のことを不審に思い始めていたA子さんは、河野の血液検査の結果報告書を発見する。そこで生年月日が偽りだと気付き、血液検査の結果がおよそ正常でしかない事実を知ることになった。

 友人に相談すると、「絶対に詐欺だから、証拠を集めるように」とアドバイスされ、河野が喫煙などで席を外した隙に所持品をあさり、住基カード、保険証、診察券、知らない女性名義のキャッシュカード、キャバクラの名刺やライターなどを発見した。河野の担当医について病院に問い合わせたところ、実在しない人物だと分かった。

事件を所管していた愛知県警中村署 ©諸岡宏樹

「この苦しみを抑えるためには、もう快楽しかない」と言われ…

 いよいよ詐欺だと確信し始めた1月12日、通報のきっかけとなる性暴力事件が発生する。仕事の休憩中に《喀血した。助けて。》とLINEで連絡が入り、急いで帰宅したところ、河野が苦しんでいた。「救急車を呼ぶ」と言うと、「お金がかかってしまうから呼ばないで。お金がないんでしょ。ないならこの苦しみを抑えてほしい。この苦しみを抑えるためには、もう快楽しか方法がないんだ」などと言われ、強姦されたのだ。

「犯罪者かもしれない男から無理やり犯されているという状況に絶望し、心がボロボロになりました。職場の同僚が異変に気付き、一連の経緯を相談すると、『吐血して震える状態で救急車を拒むヤツなんていない。目を覚まして、詐欺だ、すぐ警察だ!』と説得してくれました。私ももう確実に詐欺だと気付いているのに、どこかで婚約者を信じたい気持ちもあり、精神的に混乱していました」(A子さん)

懲役4年6カ月の実刑判決を受けた河野孝典。A子さんの職場の常連客も偽り、「君の作る菓子のファンなんだ。開業の応援がしたい。簿記の勉強も教えてあげる。出資するよ」と語っていたという(A子さん提供)

 1月24日、河野はA子さんから治療費の名目で35万円を騙し取ったという詐欺容疑で愛知県警中村署に逮捕された。

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