保釈金300万円を用意した女性の正体は…
河野は容疑を認めたが、「数え切れないほどのウソをつき、詳細は覚えていない。1000万円以上はあると思うが、借用書を作った600万円以降は覚えていない。騙し取った金はほとんど飲み代に使い、治療費として使った金は1円もない。お金が欲しかった」などと供述した。
捜査当局がLINEの履歴などから立証し、犯行が裏付けられて起訴されたのは合計777万3000円分だけだった。
A子さんは河野が逮捕されたことで、束の間の安心感に浸っていたが、河野は4月1日付で保釈されることになった。その保釈金300万円を用意したのは、河野と10年以上の付き合いがあるという内妻だった。河野は内妻と同居しながら、A子さんとも同棲するという二重生活を送っていたのだ。河野が持っていた知らない女性名義のキャッシュカードは内妻のものだった。
「きちんと入籍して、私が監督します」と誓約した内妻
「拘置所にいるはずの河野が突然、ツイッターに現れたので、私は再び恐怖に苛まれました。河野は自分が虚偽の詐欺申告をされている被害者であるかのようなメッセージを投稿し、とても傷つきました。裁判所はなぜ保釈を許したのでしょうか。私と知り合った音楽系アプリにも現れて、次の被害者を探すような行動もしていました」(A子さん)
不思議なのは内妻の女性だが、前回の事件でも公判に情状証人として出廷し、河野の「出所後の監督」を誓約していた。今回の事件でも、A子さんに対する被害弁償金として170万円を用意したほか、公判にも情状証人として出廷し、「今後は河野と入籍して監督する」などと証言して驚かせた。
7月22日に行われた証人尋問のやり取りは次の通りだ。
弁護人「今回の事件のことをどう思いますか?」
内妻「大変残念で、私の監督が足りなかったと思います」
弁護人「これを機に関係を終わらせようとは思わなかったんですか?」
内妻「思いませんでした。ここで別れて見捨てれば、同じことを繰り返す。また新しい被害者が出るし、誰も幸せにならない。これからはきちんと入籍して、私が監督します」
弁護人「被告人と家族になったら、どのように生活しますか?」
内妻「子どもをもうけてつつましく、普通の家族として生活していきたい」
弁護人「被告人が仕事をしていないのに、お金を持っているのは不自然だと思いませんでしたか?」
内妻「音楽アプリの依頼を受けて、その報酬があると聞いていました」