「日本にカジノができるっていうのが数年前から話題になっていたじゃないですか。もし本当にカジノができるなら職歴が長い方が有利になると思い、『日本カジノ学院』の幹部候補募集オーディションに応募しました。トントン拍子で最終面接に進むと『私は社外の人間だが、贄田社長から採用権を任されている』という30代後半ぐらいのパリッとしたスーツを着た男性が現れました。『今の仕事はやめて欲しい』『地方に住んでるなら東京に出て来てもらう』と色々まくしたてて来たんですが、待遇や条件がハッキリしない。『じゃあ社員として雇ってもらえるんですか?』と聞いても、『幹部候補生です』としか答えないんです」
面接官は男性を説得するために「日本カジノ学院」の贄田氏が政府が主催するカジノ規制検討会議に参加した写真などを提示したというが、男性は不信感が拭えず最終的にオーディションを辞退した。倒産の報を受けて「やはり」と胸をなでおろしているという。
老舗カジノスクールの向かいにわざわざ学校をオープン
一方で、幹部候補生になる未来を信じて入学金などを支払ったものの、倒産によって払い損になった応募者もいるようだ。カジノ業界の関係者が話す。
「オーディションの募集段階では『幹部候補生は無料でセミナーを受けられる』『30万円相当の合宿も無料』などと言っていましたが、研修内容も海外研修などは行われず、社長がカジノIRの将来を語る動画が送られてきただけ。しかも幹部候補生とは名ばかりで、本格的に講義を受けようとすると結局約60万円の入学金が必要。倒産を受けて入学金などの返金を求めた人もいたようですが、返ってきたのは数万円だけだったと聞きました。2021年には全国の多くの校舎を閉鎖していましたが、それでもオーディションだけは何回も行っていたんです」
取材を進めると、「日本カジノ学院」は“本業”である学校事業でも評判が悪かったことがわかってきた。
「カジノスクール業界では、2004年にできた『日本カジノスクール』が老舗でした。しかし『日本カジノ学院』は2014年に創業すると、四谷三丁目にある『スクール』の向かいに、わざわざ学校を開いたんです。デカデカとした看板で、『スクール』と間違えた人をターゲットにしていたようです。講義で使うテキストも丸パクリでした」(同前)