しかし裁判で証言した被害者たちは、口々にこう語った。

「服のセンスが古い。おじさんだと思っていた」

「若作りのおじさんとしか思っていなかった。魅力を感じていなかった」

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「(共犯者の男性は)その場を盛り上げようとしていたけれど、Wはスマホをいじってばかりで会話をした記憶がほとんどない」

 もしかしたら昔はモテていたのかもしれないけれど、現在の彼は女性たちからすごくモテていたわけではなかった。控えめに言っても、ナンパした女性たち全員が彼に魅力を感じていたわけではない。

“塾長”と世間の大きなギャップ

 Wがスマホをいじっていたのは、RNAメンバーとのLINEグループで逐一報告と指示出しをしていたからだ。

 ナンパしたのはどんな女性なのか、どのようなゲームをして誰がどのぐらい負けているのか。「ギラ=女性に性交を持ちかけること」、「即=出会ったその日に性交すること」、「くるくる=1人の女性と複数が性交すること」などの隠語を使いながらメッセージを交わし合っていた。その中で、Wは常に塾生からもてはやされていたようだ。

「女性からの逆ギラも自分にとっては珍しくなく」

「(他メンバーが)勝手に女にギラついていたので、厳しく注意した」

 Wは法廷でこう言った。「ギラ」なんて内輪の言葉を使って恥ずかしくないのかと思うけれど、おそらくWにそのような認識はない。彼はRNAで自分が作り上げた常識の中で生きていて、世間とのギャップに気づいていない。気づかないでも生きていける状況だった、これまでは。

 若い女だったら誰でもいいのだ、彼らは。顔面が今風だったり、胸部が突き出ていればなおさらいい。「レベルの高い女」とヤったことになるから。だから外側については異常に気にするが、中身についてはほとんど考えていない。考えていないというか、同じだと思っている。

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 女は、金を持ってる男が好き。だからブランド物やレアアイテムを見せればついてくる。エリートが好きだし、イケメンが好き。渋ってもおごるよと言えばついてくる。

 女の話はつまらない。聞いてるふりをして適当に相槌を打てばいい。ちょっと褒めて甘やかせば簡単に喜ぶし、求めているのは解決策じゃなくて共感。

 女が性行為を拒むのは拒むフリ。酒を飲ませれば酔ったフリをして女も応じやすくなる。でも機嫌を損ねると金目当てで冤罪を仕掛けてくるから注意。

 Wが考える「女」はそういうもので、その枠からはみ出る部分は見えていない。こんな枠に当てはまる女のほうが少ないのだが、女の表情や動作を、無理やり枠に当てはめて理解しようとする。