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制作サイドに渡った収益は0.2~0.4%か

 Netflixの『イカゲーム』への投資額は、韓国では「253億ウォン」(約26億円)といわれ、これは米国ドラマと比べるとケタ違いに安いといわれる。同社は投資額などを一切公表しないのであくまでも推算された数字だが、『イカゲーム』の大ヒットでNetflix社はおよそ1兆520億ウォン(約1085億円)の収益を得たといわれている。投資額の40倍以上だ。

 一方、制作サイドには、Netflixオリジナル作品などのOTTオリジナル作品では総制作費の15~20%ほどのマージンが支払われるといわれており、『イカゲーム』の場合は、マージンが53億ウォン(約5億4000万円)、ここにマーケティング費用などが含まれていればマージンは20~40億ウォン(約2億~4億円)と計算され、これはNetflixが得た収益(1兆520億ウォン)のわずか0.2~0.4%に過ぎない。

 韓国紙文化部記者は言う。

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「NetflixのようなOTT(オンライン映像配信サービス)を作ればいいという声がでますが、それだけでは問題の解決になりません。

 韓国で今展開しているTvingなどの独自のOTTを世界に広げていくことは重要ですが、そのOTTにしても、Disney+などが会員数を伸ばしNetflixの会員数を超えるなど競争が激しくなってきていますし、韓国の主要な制作会社の株価も去年と比べると落ちている。やはり、IPをどう死守できるか、クリエーターにも十分に利益が分配されるような仕組作りが急がれています」

主演のイ・ジョンジェは、1995年、最高視聴率64.5%をたたき出した大ヒットドラマ『砂時計』 に出演しスターに。その後も数々の秀作に出演しており、『イカゲーム』での哀愁漂う中年役はイ・ジョンジェ以外にいないといわれるほど絶賛された ©getty

Netflixからの投資を断っていた『ウ・ヨンウ』

 そんなIPを確保し喝采を浴びたのが、最近大ヒットした韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(以下、『ウ・ヨンウ』)だ。自閉スペクトラム症を持つ新米弁護士ウ・ヨンウが主人公のこの作品は、韓国ではまったく無名のケーブルテレビで放映された。ところが口コミであっという間に人気となり、0.9%だった視聴率は最終回には17.5%をたたき出した。

 Netflixのグローバル視聴ランキングでも、7月4日から10週連続トップ10入り。うち7週連続世界1位となり、「第二のイカゲームなるか」とも囁かれた。ちなみに『イカゲーム』は登場後から19週連続世界トップ10入りし、うち9週連続で世界1位だった。