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〈イヌみたいに…〉

〈イヌみたいに、パンにかぶりつきよったんよ 笑〉

 20年4月以降、赤堀から食事の提供が打ち切られると、事態は切迫していく。残された食料を4人で分け合い、醤油を薄めたスープで空腹を誤魔化したが、やがて翔士郎ちゃんが頭痛を訴え始める。碇が赤堀に報告するも「頭痛いは嘘やもんね」と一蹴された。

 迎えた4月18日。冒頭の通り翔士郎ちゃんは最後まで母を気遣い、数時間後、息をしなくなった。兄たちは泣き叫んだという。

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 だが、碇が真っ先に連絡したのは、119番ではなく赤堀だった。

 法廷では、赤堀の夫による通報で駆け付けた救急隊員の証言から、5歳児の壮絶な最期が詳らかになった。

「注射をしようにも、男児は骨と皮だけで、血管が見つからなかった。肋骨が浮き、末期ガン患者のようにガリガリで異常だった」

 死亡時、翔士郎ちゃんの体重は、5歳児平均の約半分の10.2キロ。司法解剖医の鑑定書には、通常1センチ前後ある腹部の皮下脂肪がたったの1ミリだった事実も報告されていた。

「検察によれば、20年3月2日から4月18日までの48日間で、翔士郎ちゃんの食事が抜かれた日は、20日以上もあった」(別の司法担当記者)

 食事にありつけた日でさえ、「食パン2枚」「つくね1個半、みそ大さじ4分の1杯」など苛烈を極めた。

兄たちは「ママは悪くない」

 一方、法廷には碇の元夫も証人として出廷した。

「親として子供を守ることは最低限のルール。そこは許せない」

 その上で、元夫はこうも証言している。

「本来、(碇は)子供を大切にする母親だということは伝えたい。長男と次男は、今でも母親のことが大好きだと思う。今回のことを受け入れ、償ってほしい」

 元夫が引き取って育てる長男と次男は、碇に宛てた手紙の中で「ママは悪くない」と書いていたという。