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山川穂高、外崎修汰らを独自路線で発掘。なぜ西武はドラフトで“お宝”を手にできるのか

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/10/03
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注目度の低さを“逆手”にとる

 西武のスカウティングにおける独自色は実際に指名した選手にもよく表れています。現在中軸となっている山川穂高選手、外崎修汰選手の出身校である富士大が代表例となりますが、まずいわゆる地方リーグの選手を積極的に指名しています。

 2000年以降に指名した地方リーグの大学としては富士大以外にも青森大、平成国際大、三重中京大、第一工業大(現・第一工科大)、福岡大、別府大、八戸大(現・八戸学院大)、松本大、北海学園大、東北学院大、白鴎大、岐阜経済大(現・岐阜協立大)、北海道教育大岩見沢校、東日本国際大、日本経済大、徳山大(現・周南公立大)、東農大北海道オホーツク、東北公益文科大、名古屋学院大、四国学院大、西日本工大があります。神奈川大学リーグも含めると、関東学院大、神奈川大、桐蔭横浜大からも選手を指名しています。

 ここまでありとあらゆるリーグの大学から選手を獲得している球団は西武以外にありません。近年はだいぶ地方との格差は小さくなっていますが、大学野球は高校野球に比べると有望選手が首都圏、関西圏に集中する傾向が強いことは確かです。

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 しかしそんな常識にとらわれることなく、他球団やメディアの注目度が低いことを逆手にとって、隠れていた有望選手を発掘してきたことがよく分かるでしょう。

外崎修汰と山川穂高

独自路線に表れる“強い意志”

 このような傾向は大学の選手だけではありません。

 プロ選手を輩出することが少ない新潟の高校から昨年までの5年間で綱島龍生選手(糸魚川白嶺・2017年6位)、滝澤夏央選手(関根学園・2021年育成2位)と2人の選手を獲得。綱島選手は残念ながら故障で短い在籍に終わりましたが、滝澤選手は早くも支配下登録されて一軍デビューを果たしています。

 2014年には前年に敦賀気比を卒業し、浪人生活を送っていた玉村祐典選手を4位で指名して話題となりました。こういったところからも、他球団が注目していないところから選手を探し出してくるという球団の強い意志のようなものが感じられます。

 高校生と大学生には事前にプロ志望届の提出が義務付けられ、また情報化が進んだことでいわゆる隠し玉という選手が出てくることは少なくなりました。それでも時々驚くようなところから選手が指名されることがあり、それが西武による指名ということは少なくありません。

 今年も果たしてサプライズがあるのか。10月20日に西武が指名する選手の名前、そして所属チームにぜひ注目してもらいたいですね。

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