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「世の中のデブに対する風当たりを思い知らされたよね」

――「びっくえんじぇる」を結成した時の家族や友人の反応はいかがでしたか。

えりぴよ うちの家族はわりと「できるところまでやってみれば」っていう感じでした。反対はされませんでしたね。

ミチ子 私も家族や友達は優しかったんですけど、「びっくえんじぇる」のために250万円ぐらい借金したことは結構心配されました。衣装はもちろん特注だし、私たちのサイズを作ってくれるところは限られるんです(笑)。曲や振り付けもプロの方にお願いするので、アイドルって意外とお金がかかるんですよ。

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©️文藝春秋

えりぴよ しかもみっちゃん、メンバーに借金のことを言わなかったんですよ。全部返した時にやっと教えてくれて、「めっちゃかっこいい、一生ついて行こう!」ってあらためて思いました。

ミチ子 もっと褒めてー(笑)。でもメンバーのおかげで借金もなんとか返して、お給料も払えるようになって、成功したとは全然思ってないですけど、やっとここまで来れたなっていう充実感はちょっとだけありますね。

――4年間の活動の中で、特に大変だったのはどんなことですか?

ミチ子 アイドルイベントになかなか出してもらえなかったのは辛かったですね。事務所がないので自分でイベンターさんに営業するんですけど、挨拶しても私たちの体型を見て「ふーん」みたいに雑に断られることも多くて。やっぱり「アイドル」の枠の中に入れてもらえない感じはありました。

えりぴよ そうそう。私たちは「デブでもアイドルになれる」って思って活動を始めたけど、世の中のデブに対する風当たりを思い知らされたよね。でもそれと戦うのが「びっくえんじぇる」かな、とも思いました。

©文藝春秋

――アイドルイベントなどで、お客さんの反応はどうだったんでしょう?

ミチ子 面白いと思ってくれる人もいるし、細い子の方が好きっていう人ももちろんいます。ただ「デブじゃん」って言われるのは全然いいんですけど、「体型とかどうでもいいから楽しく生きようよ」っていう私たちの考えががうまく伝わらない時は辛かったですね。「痩せたいの? デブ売りなの?」みたいな反応は今もありますし、TIFを目指してた時は「太ってるのが珍しくてTIFに出られるなら、デブがアイドルになれば全員TIFいけるじゃん」と言われることもありました。

――それぐらい「デブ=悪いこと」という価値観が根強いんですね。逆に、ファンや視聴者に言われて嬉しいことはなんでしょうか。

ミチ子 私は大雑把な性格なのでYouTubeにすっぴんで出たり豪快にご飯を食べたりするんですが、そういう時に「ありのままのミチ子が好き」って言ってくれると一番嬉しい(笑)。もちろん本当に直した方がいいことは直していきたいと思ってるんですが、ダメなところも含めて私なので、そこを受け入れてもらえると嬉しい。

びっくえんじぇるの食べっぷりは豪快で、本当に美味しそうだ 公式YouTubeより

えりぴよ 体型で悩んでるファンの子に「悩んでいたことがなくなりました」とか、「元気になりました」って言ってもらえるのも嬉しいよね。

ミチ子 うんうん。この間、ファンの摂食障害の方が手紙をくれて、「2人が何も気にせず楽しそうにご飯を食べている姿を見ていたら、食べることって楽しいことだったんだなって気付けました」って書いてあったんです。私も昔は食事が怖かったから、その気持ちはすごいわかるんですよね。だから、今それに苦しんでいる人がちょっとでもそう思ってくれたらいいよね。

えりぴよ 私たちは好きで食べてるだけだから、ウィンウィンすぎる(笑)。