今年6月、ある新卒向け就活情報サイトの記事が大炎上しました。

「【行く意味ある?】Fランク大学一覧」というタイトルで、内容は一部の大学出身者を差別するもの。

 また、一覧の中には音大や美大、体育大学なども掲載されており、信ぴょう性にも欠ける内容ゆえか、多くの批判を集め、最終的には削除されてしまいました。

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 さて、この問題記事のタイトルにもなった「Fランク大学」とは、予備校大手の河合塾が合否判定不能な大学を「Border Free」と分類したことに由来し、低偏差値の大学を意味します。

 実際にこうした大学の出身者は、社会に出て十分に活躍しているのでしょうか? 今回は、企業の経営者・人事部門の関係者に「Fランク大学出身者の評価」についてヒアリング。彼ら彼女らの「入社後」と「企業側の評価」について紹介していきましょう。

大手企業はFランク大学を敬遠する 

「なんでアホを押しつけるんだ。ちゃんと人事部門で面倒を見ろよ!」と猛抗議する幹部社員も。写真はイメージです ©iStock.com

 今回、新卒を毎年10人以上定期採用している大手企業・中堅企業38社に調査したところ、うち11社は「Fランク大学出身者はいません」「取引先の関係者など特別枠を除く一般採用ではゼロ」ということでした。11社はいずれも大手の上場企業でした。

「当社の新卒採用は、建前でなく学歴不問です。ただ、結果的に、低偏差値の大学の出身者は1人もいません。そうした大学にも魅力ある学生がいるようですが、学力を必要とする入社試験を実施していることから、内定には至らないのでしょう」(通信)

「以前、Fランク大学出身者を採用したことがあります。しかし、配属した営業部門での成績が極端に悪く、部門長から『なんでアホを押しつけるんだ。ちゃんと人事部門で面倒を見ろよ!』と猛烈な抗議を受けました。それ以来、敬遠しています」(電機)

 就活でよく話題になるのが、学歴によって一部の大学生を排除する「学歴フィルター」。その真偽は不明ですが、採用市場で有利な立場にある大手企業は、あえて低偏差値の大学から採用する必要がないと判断しているようです。

 Fランク大学出身者がいると回答した会社も、本当は採用したくないが、やむなく採用しているという様子でした。

「わが社は知名度が低く、新卒採用では苦戦しています。一定数の新人を確保しようと思うと、若干名のFランク大学生を採用することになります。社長は『無理して数合わせをしなくて良いよ』と言ってくれますが、事業部門からは『とにかく人手を確保して欲しい』という強い要望があり、悩ましいところです」(IT)