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Fラン大学出身者への批判は的外れ

 ところで、企業側の声だけを拾うのは片手落ちなので、今回、大手企業で働いているFラン大学出身者4人に話を聞いてみました。

「能力が劣るのは、紛れもない事実」「私のような低学歴の人間を雇ってくれて、会社には感謝しています」という謙虚なコメントが多かったのですが、エネルギー会社に中途入社した中川正志さん(仮名)は、低偏差値の大学出身者を蔑視する会社の姿勢を疑問視していました。

 中川さんは、Fランク大学出身者を批判する人には「俺たちのような優秀な人材の集まりに無能なお前たちが仲間入りし、美味しい思いをするのは許せん」という歪んだ意識があるとし、経営者・人事部門を次のように糾弾します。

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写真はイメージです ©iStock.com

「そんなに低偏差値の大学出身者が邪魔者だというなら、採用しなければ良いじゃないですか。働きが悪いというなら、給料を下げれば済む話じゃないですか。そういうことをせずに、ああだこうだ言っている人の気が知れません」

 たしかに、多くの日本企業は、新卒一括採用の仕組みを変えず、事業部門の要望に応じて数合わせで新人を採用しています。また、年功序列賃金にこだわり、業績・能力などを公正に評価する仕組みに変革できていません。こうした制度の歪みがFランク大学という問題に反映されています。

 Fランク大学出身者について考えると、過去の制度・習慣にしがみつき、なかなか変革を進めることができない「日本企業の問題」に行き着くのです。

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