「悶々としている、この世の全JTC社員が読むべき小説」「月曜日が憂鬱な全サラリーマンに読んでほしい!」発売直後からビジネスパーソンの間で話題の『高宮麻綾(まあや)の引継書』。

 国際政治や海外のビジネスシーンを中心に、世界のニュースを解説する人気のPodcast「News Connect あなたと経済をつなぐ5分間」に、現役商社マンで作家の城戸川りょうさんが登場しました。

※本記事はPodcast「News Connect あなたと経済をつなぐ5分間」で配信された内容を再構成したものです。

 

聞き手:野村高文氏(Podcastプロデューサー)
ゲスト:城戸川りょう(作家)

 

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「引継書」が小説に!? 話題作誕生の舞台裏

――「引継書」をテーマにした小説はあまり聞いたことがありません。

城戸川:私自身が働く商社を舞台にと思い、この作品を書き始めました。タイトルにもなっている「引継書」は、多くのビジネスパーソンが思い入れのあるものだと感じています。異動の多い会社で後任の人に、自分のやった仕事を伝えるだけでなく、自分がやってきたことが成績表のように残るので、こだわりがある人が多いのかなと。

 この「引継書」をテーマに小説を書けたら、面白いんじゃないかという着想がありました。

©AFLO

――作品の要所要所に出てきます。

城戸川:残業している時に、ものすごい古い引継書を会社でたまたま見つけたという経験がありまして。すでにもう無くなった事業に関する引継書でしたが、当時の人の熱い思いや事業に賭ける思い、畳まざるを得なかった悔しい思いが滲み出ているのを感じ、「あ、これ面白いな」と。

◆小説『高宮麻綾の引継書』とは

主人公は食品系の専門商社に勤務する、社会人3年目の高宮麻綾(まあや)。
社内のビジネスコンテストで優勝し、事業化を約束されるも、親会社に「リスクがある」としてアイデアを潰されてしまう。

怒りに震えた彼女は「リスクの正体」を探るべく、過去に親会社でおきた事件について調べていく…。
 

第31回松本清張賞の最終選考で落選するも、2025年3月刊行。
丸善丸の内本店の週間ベストセラー(2025年4月3日~4月9日)の『文芸』部門で1位にランクインした。

――主人公が仕事で上手くいった後の酒を飲むシーンが印象的でした。

城戸川:仕事仲間と、終わった後の酒を飲むシーンは、日々の仕事の苦労や喜びを分かち合い、語り合える大切な時間だと感じています。かく言う私は商社マンながら、お酒が飲めないのですが(笑)。

――この小説を通じて、読者に伝えたいことは?

城戸川:「会社員だって面白いんだぞ」ということを伝えたいと思いました。会社員生活で思うようにいかないことや、うまくいかないこと、それでもキラッと輝く瞬間や、後から振り返って面白かったと思える瞬間は必ずあるはずです。