「今ここは頑張り時だ!」という一瞬のきらめき
――1つの作品を生みだす苦しみがあると思います。そのなかで続けていくには何が支えになっていますか。
城戸川:松本清張賞に応募するまえに、自分が書いた作品を会社の先輩や同僚、友人に読んでもらっていました。ある短編小説を口数の少ない先輩に見せたとき、「続き早く読ませてよ」と言われて。そう言ってくれる人がいるなら書きたいと思ったし、それがモチベーションになっています。
――このあと、どういった小説を書いていきたいですか?
城戸川:『高宮麻綾の引継書』の続編はしっかり書いていきます。また、普段働いてる中で得た喜怒哀楽や、いろいろな感情はどんどん増えていくと思うので、やっぱりお仕事小説は今後も書いていきたいなと。
書きたいものとしては、“普通の人”を書きたい。(『高宮麻綾の引継書』の主人公である)高宮もすごい強いキャラクターに見えますが、生まれが特別だったり、後ろ盾があったりするわけではない。でも普通の人である彼女がやっぱり「今ここは頑張り時だ!」と思って、その一瞬のきらめきみたいな、ガッツ出して踏ん張ってやり切って。その一瞬の輝きを切り取ったのが、『高宮麻綾の引継書』だと思っています。
世の中面倒くさいし、面白くないこともたくさんあるけども、悪いことばっかりではない。自分もちょっと頑張ってみようかなと読み終わった後に思ってもらえるような、そんな小説を書いていけたら嬉しいです。
――仕事に対してのスタンスがそれぞれ異なる時代です。城戸川さんは商社パーソンとしての活動も含めて、仕事というものをどう考えていますか。
城戸川:私は器用ではないので、全部100%でやろうとしてしまいます。その上で、自分の好きなものと出会えたら、その瞬間に初めて120%、150%、それ以上のものが出せるのかなと。自分が常に150%、200%出せるようなものに出会いたいと思って仕事しています。
今の時代、走り続けることも大事なので、バランスを取りながら、やりたいことに出会えた瞬間にガッと飛びつける瞬発力、体力は常に持ち続けたいですね。
※本記事は4/5(土)に配信されたPodcast「News Connect あなたと経済をつなぐ5分間」の内容を再構成したものです。




