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山上容疑者の映画を「国葬のタイミングで上映するのは当たり前」

 国葬が始まるのとほぼ同時刻の13時50分、渋谷のロフト9では山上徹也容疑者をモデルとした映画「REVOLUTION+1」の上映が始まろうとしていた。

 この映画を巡っては25日、鹿児島市の映画館が「テロを容認するのか」といった抗議のメールや電話が数件寄せられたことを受けて上映を中止にするなど騒動が起きていた。渋谷の上映も中止の可能性がささやかれたが、上映後の監督によるトークイベントも合わせて決行。チケットは完売、満員での上映だった。映画とトークイベントが終わった17時、映画館から出てくる人に話を聞くことができた。

「REVOLUTION+1」が上映された渋谷の映画館 ©文藝春秋

「素晴らしい映画だったと思う。山上容疑者だけでなく、現代を生きる多くの人が抱えているお金や宗教に関する苦しみが描かれていた。誰にでも共通する問題を炙り出した作品だと思った。国葬のタイミングで上映するのは当たり前。先進国なら両方の立場があって、それぞれ活動してしかるべきだと思う」(60歳男性・大学教員)

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「山上容疑者が迷いに迷って犯行に及ぶ姿が描かれていて、興味深い映画だった。国葬の日に上映することへの批判をしている人もいるようですが、理由がわからない。これが安倍さんの葬儀なら静かに過ごすのはわかるが、国葬はただの国のイベント。『国民はすぐに事件を忘れてしまうから、今上映することに意味がある』と監督も言っていました。私も同感です」(60代女性)

九段下には「祝国葬」というボードを掲げてアコーディオンを弾く人も。曲は「ハクション大魔王」 ©文藝春秋

 映画で宗教の2世信者を演じたモリヤマアカネさんにも話を聞くことができた。

「出演のオファーを受けた時は正直怖いと思いました。でも私も家族のことで悩んでいた経験があったので、台本を読んだ時、描かれていることと自分に繋がるところがあるのを感じました。映画の上映に関していろいろ言われていますが、映画を見ずに批判してしまうのはとても危ないことだと思う。単純に悪いと決めつけられないところがあるので安倍さん支持の人にも見て、批判するならそれからにしてほしい」

 映画館周辺にはちらほらメディアの姿も見られたが、多くの人が行き交う渋谷駅前では、大型ビジョンでの国葬中継もなく、いつもと変わらない日常が繰り広げられていた。

 町を歩く学生に声を掛けても「うーん、興味無いですね。朝のニュースで今日やるんだって知ったくらい。親とか友達も話題にしてないですし。反対とか賛成もないです」(10代女性・学生)

 献花台に多くの人が集まり長蛇の列ができていることを伝えても、「へえ……」と反応は薄かった。