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北海道から献花のために来たが間に合わなかった人も

 この日、武道館の一般献花台には2万人以上が訪れたという。炎天下の中で3~4時間待ちの行列ができており、終了が予定されていた16時になっても花束を持った人々が途切れず、結局18時まで延長して行われた。門が閉め切られた後の18時すぎに献花台近くに到着した50代の会社経営者は肩を落としてこう語った。

献花台にできた行列。この日は炎天下だったが、3時間以上並ぶ人も ©文藝春秋

「北海道から来て15時に羽田に着いたのですが、土地勘がなくてここに来るまで道に迷ってしまって……。アベノミクスに助けられた気がして、以来安倍さんのことを尊敬していたので、一言お礼を言いたいと思ってきたのですが、警察官に規則は規則なのでと献花を断られてしまいました。残念です」

 海外の要人や皇族、国会議員などの参列者による献花がすべて終了し、安倍元首相の遺骨が武道館を離れたのは18時20分のこと。国葬の長い1日がようやく幕を閉じた。

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献花に間に合わず、公園前に佇む男性 ©文藝春秋

 しかしながら、安倍元首相の殺害事件をきっかけに明るみに出た政治と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係については、さらなる説明と議論が必要とされている。10月3日に召集される秋の臨時国会の場で、野党が自民党と旧統一教会との関係を追及するとみられるが、これに対し、岸田首相はどのように対応するか注目が集まっている。

 安倍元首相を殺害した山上容疑者は、事件当時に刑事責任能力があったかどうかを鑑定するため、現在は留置されており、その拘置期限は11月29日。その後、山上容疑者が何を語るのか。

国葬当日の旧統一教会本部は閑散としていた ©文藝春秋

 山上容疑者の母親から多額の献金を受け、家庭を崩壊させたとされている旧統一教会。この日、渋谷にある旧統一教会本部では半旗が掲げられていたものの、建物内には人気がなく、シャッターは降ろされ静寂に包まれていた。

 安倍元首相の死を巡る、疑惑と謎。その余波は国葬の後も続きそうだ。

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