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大炎上した尹大統領の「暴言」騒動

 尹大統領が日本との関係改善に意欲を示しても、日本で取り沙汰されてきたのは、就任間もないというのに上がらない尹大統領の支持率の低さだ。しかし、支持率は底をついたと前出の記者は楽観的に言う。

「日本では尹大統領の支持率が低いため、韓国国内で世論を説得できないのではないかという懸念があったようですが、尹大統領の支持率は保守派の岩盤層の支持率30%前後の底を打ちました。これ以上は落ちることはないだろうと見られています」

 そうはいっても韓国政界もかなりゴタついている。

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 9月21日、尹大統領がニューヨークでの国連総会後、バイデン米大統領が主催するイベントへ参加した後、歩きながら朴振外相へ話しかけた言葉が物議を醸している。

 何度も映像で流れており、それでも周囲の音でよく聞き取れないのだが、「国会でこいつらが承認しなければバイデンは恥をかくだろうな」という字幕をつけて進歩系といわれるテレビ局MBCが最初に報じた。

 野党「共に民主党」は「米国を侮辱した」とし、さらに日韓首脳会談の内容も「屈辱的だった」とし「外交惨事」だとして外相の辞任まで要求。国会に外相解任を求める決議案を提出し、29日の本会議で可決されている。これに対し、尹政権側は、「MBCのねつ造だ」とし、「バイデンとは言っていない。こいつらという言葉については大統領は記憶にないとしている」と反駁。MBCに抗議している。

 聞き取れないほどの発言をニュースとして取り上げ字幕付きで報じたことは意図的といわれてもやむなしと思うが、そもそも大統領たる人物が公の場での立ち居振る舞いについて危機管理がなさすぎる。

©getty

 この発言を巡っては水掛け論の応酬になっており収拾がついておらず、尹大統領の支持率も24%と先週より4ポイント下がっている(9月30日、世論調査会社「韓国ギャラップ」)。

 国葬の話に少し戻ろう。さて、旧統一教会系の「世界日報」はどう報じたかというと、国際面で岸田文雄首相が祭壇に向かって弔意を表している写真に「安倍元総理国葬」というタイトルをつけ、「安倍元総理は7月8日参議院選挙遊説途中、銃撃により死亡した」という一文に加えて、海外の来賓客に触れた短いキャプションをつけるという、ひっそりとしたものだった。8月に行われた日本人信者を集めて行ったデモを大きく報じていたのとは対照的だ。

 日本では10月3日から臨時国会が召集されるが、「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)」問題で大揺れになることは必至だ。韓国でも、10月4日から国政監査が幕を開ける。年内にも出るといわれる現金化の最終判決が秒読み段階に入る中、年末までの3カ月は日韓関係においても重要な時期になる。