〈日本の近代政治界において“文先生”の名前を抜けば暗黒です〉〈日本政界のトップたちはそれを知っています。「文先生の力が怖い」と〉(2003年9月24日/418巻)

「文鮮明先生말씀(マルスム)(み言葉)選集」という本がある。そこに収録されているのは統一教会(現・世界平和統一家庭連合)を創設した文鮮明氏が遺した独善的な“お言葉”の数々だ。

数々の証言を遺した文鮮明氏

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膨大な量の“お言葉集”を韓国で入手

 1961年から2010年頃まで不定期に発行された選集は、全615巻。全て韓国語で編まれている。版元は韓国・ソウルにある教団傘下の出版社だ。韓国在住の元信者が解説する。

「1冊あたり300ページから400ページ。印刷部数は限られていて、入手は困難です。現在はコアな信者のみが所有しています。全巻を揃えている信者は限りなく少ないと思われます」

全615巻に及ぶ選集で語られたことは?

 統一教会の日本本部によると、韓国の信者向けに作られており、日本語版はないという。筆者は今回、膨大な量の“お言葉集”を韓国で入手した。

日本語版は発刊されていない

 主な内容は文氏による説法等の発言だが、その中に日本の政治家との繋がりを語っている箇所がある。韓国限定で発刊された冊子ということもあり、そこで語られているのは日本国内には漏れ伝わってこない放言のオンパレードである。

〈岸(信介)首相は霊界に行っていますが(亡くなっているの意)、その次に福田(赳夫)首相です。福田は、私が首相にさせたのです。中曽根(康弘)も私が首相にしたんです〉(98年6月10日/294巻)

〈私たちの計画通り踊らせる〉

 まるで日本の歴代首相が自分の掌中にあったかのような口ぶりである。

 文氏が日本の政界に食い込んでいく原点は、統一教会が日本で宗教法人の認可を受けた64年に遡る。同年11月、教団は本部教会を世田谷区下北沢から渋谷区南平台に移転。その場所こそ、安倍晋三元首相の祖父・岸信介氏の私邸の隣。57年から60年の岸内閣時代に首相公邸として使われた建物でもあった。

 統一教会と岸氏の間を取り持ったとされるのが、戦前に右翼政治家として活動した日本船舶振興会会長の笹川良一氏。2人はA級戦犯の容疑者として収監され、親密な関係を築いていた。

 68年、文氏は日本と韓国で反共産主義の政治団体「国際勝共連合」を結成。日本の名誉会長に就任したのが笹川氏だった。