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中国侵攻「自衛隊が一緒に戦ってくれれば…」台湾の安全保障の第一人者が語った“日本への期待”

中国侵攻「自衛隊が一緒に戦ってくれれば…」台湾の安全保障の第一人者が語った“日本への期待”

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自衛隊、スターリンク、弾薬補給…日本に求めること

 中国が台湾に武力侵攻した場合、「米軍は最終的には軍事介入すると思います。でも、決断するタイミングが遅れることはありうる」と指摘する掲氏。では、日本には何を期待するのか。

「まず、平時において、日本政府が西側諸国と足並みをそろえ、中国が台湾侵攻したら強力な制裁を科すという姿勢を明確に示してもらいたい。そうなれば、台湾侵攻に伴って支払わなければならない中国のコストが上がり、慎重な姿勢を取らざるを得なくなる。

 そして、台湾の人間としては、台湾海峡で戦争が勃発したら、可能であれば自衛隊が参戦して一緒に戦ってくれれば一番望ましいことです。それが無理でも、有事となれば台湾の大型レーダーはかなりのダメージを受けるでしょうから、日本政府が中国軍の艦艇や航空機の位置情報などを提供してくれればありがたい。こうした位置情報を提供するためには、平時からハードとソフトの両面の整備が必要になります」

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8月に行われた中国の大規模演習

 ロシアによるウクライナ侵攻では、米国がロシア軍の位置情報をウクライナに提供した。また、スペースXの衛星インターネットサービス、スターリンク(Starlink)がウクライナに提供しているオンラインサービスが、ロシアによるフェイクニュース攻撃を否定し、正しい情報を発信するうえで重要な役割を担ったとされる。

 掲氏は、現在のウクライナの情勢と台湾有事を比較しながら、日本との協力体制について、次のように語る。

「スターリンクの送受信設備はウクライナにはなく、リトアニアとポーランドにある施設を利用しています。中国は台湾侵攻を決意すれば、台湾と外部との通信、あるいは台湾内部の通信などをあらゆる手段で妨害、遮断しようとするのは間違いない。台湾国防部はスターリンクをつかっての軍の指揮統制を検討するでしょう。ですから、その送受信施設を与那国島や沖縄本島につくってほしい。