近年は「人生相談のプロ」として多くの注目を集める劇作家の鴻上尚史さん。毎月届く60本以上の相談のなかには、かなりヘビィーなものも。それにもかかわらず、鴻上さんが回答にプレッシャーを感じない理由とは?

 鴻上さんが週刊SPA!で連載した「ドン・キホーテのピアス」から、選りすぐりのエッセーを集めた『人生ってなんだ』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

鴻上尚史さんはなぜどんなヘビィーな相談にも答えられるのか? ©文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

ほがらかじゃないほがらか人生相談

 どんなに長く仕事をしていても、「え!? そんなに評価されるの?」と予想が外れることがあります。

 知ってる人は知ってるかもしれませんが、2018年夏から、おいら『ほがらか人生相談』というものを始めました。

 朝日新聞出版が発行している『一冊の本』という小冊子とネットの「AERA dot.(アエラドット)」での連載です。

 相談の内容が、「個性的な服を着た帰国子女の娘がいじめられそうです。普通の洋服を買うべきですか?」とか「鬱になった妹が田舎に帰ってきましたが、世間体を気にする家族が、病院に通わせようとしません」とか「今年入籍したばかりの妻が、酒を飲むと暴言をはきます」なんていう、『ほがらか人生相談』というタイトルなのに、全然、ほがらかじゃない相談がどっと集まりました。

写真はイメージです ©iStock.com

 自分としては、普通に回答していたのですが、気がつけば、「5000万PV突破」という閲覧数だと、担当編集者が教えてくれました。寄せられる相談も、月平均60本以上で、もう700以上の相談が集まっているそうです。

 こんなに反応があるとはと、ちょっと、キョトンとしています。

 毎月、ヘビィーな相談に答えるのは大変でしょうと、いろんな人に言われるのですが、じつは、そんなに大変ではありません。