欠席した女子学生は、ものすごく内気で声の小さい人でしたが、授業が始まって何日か後は、引っ詰めの髪をおろして、眼鏡も外して、だんだん、“解放された”方向に進んでいると思っていたので、ショックでした。
どうも、演技がうまくできない、というのが彼女のプレッシャーの原因だったらしいので、じゃあ、例外として役者はやらなくていいから、ここまでせっかくやったんだから、スタッフだけでも続けたらと助手さんに伝言し、それを伝えようとして、助手さんは、父親に怒鳴られたのです。
彼女はそれっきり来なくなったのですが、興奮した父親は「明日、大学に抗議に行く、お前達は娘をメチャメチャにした」と叫んだというので、大学の職員さんに事情を話すことになりました。
怒鳴ってきた父親と対面できると思いきや…
ぶっちゃけ言えば、僕は、こういう場合、「来なさい」と思っています。
そんな無理なことを要求したつもりはまったくないし、どう考えても理不尽ですから、授業を見学してもらって、とことん話そうと思うのです。
で、もっとぶっちゃけ言えば、僕は客員教授ですから、抗議をどーんと食らって、大学側から「ま、しょうがないですから」と首を切られても、問題はないのです。だって僕は演出家で、一時的に「客員教授」なんていう偉そうな“立場”をもらっているだけですから、いつでも、抗議する父親と心中してやると思うのです。
で、結局、次の日、待てど暮らせど、抗議の父親は現れなかったのですが、僕の上司に当たる担当教授といろいろと話をしました。
今年、早稲田大学は鬼畜イベントサークル問題(早稲田大学の学生が中心となっていたイベントサークル「スーパーフリー」のメンバーが数年にわたり輪姦を繰り返していた事件。2003年5月、警察に被害届が出され、翌月に代表者らが逮捕されたことで事件が発覚)で揺れたのですが、この時は、大学に抗議のメールが800通も来たそうです。