前作以上の人気も集めた続編には“なかなかぶっ飛んだ”伝説のパートが
そしてまたバリー・ソネンフェルド監督をはじめ、基本的に同じ座組みで製作された1993年の続編『アダムス・ファミリー2』も快作に仕上がった。前作より濃厚なギャグがテンポ良く繰り出され、こちらのほうが好きというファンも数多い。
この『2』はアダムス家に新しい赤ん坊が産まれるところから始まる。ピューバート(発情期)と名付けられたこの男児は、なんと父親ゴメズそっくりの口ひげが生えている。そんな幼い弟を、ウェンズデー&パグズリー姉弟は幾度も殺害しようと試みるのだ!
赤ん坊の身を心配したゴメズは、ベビーシッターのブロンド美女デビーを雇うが、彼女の正体は結婚詐欺師にして連続殺人犯(ジョーン・キューザックが怪演!)。デビーはアダムス家の資産を狙うべく、恋愛経験がない純情なフェスターを標的にして誘惑するのだが……という怒涛の展開。
本作で伝説化しているのが、ウェンズデー&パグズリー姉弟が嫌々参加するサマーキャンプのパートである。
健やかな子供たちの群れにまったく馴染もうとしないウェンズデーが、様々な感動作のビデオ(『サウンド・オブ・ミュージック』や『アニー』など)で教育され、感謝祭の劇に参加。彼女はチペワ族のポカホンタスに扮し、先住民の立場から「ここは我々の土地よ!」と叫んで場を撹乱する。『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年)を過激に受け継ぐような、白人優位主義への鋭利な風刺。ポール・ラドニックの脚本がなかなかぶっ飛んでいてすごい!
なお、この劇中劇で振り付けを担当したのは、のちに映画『ヘアスプレー』(2007年)や『ロック・オブ・エイジズ』(2012年)、ドラマシリーズ『glee/グリー』などの監督も務めるアダム・シャンクマンである。
カルト味のある攻めた笑いを盛り込みつつ、しかし『アダムス・ファミリー』の卓越さは、ファミリー映画としての絶妙なバランスにある。ホラー的な邪悪さや忌まわしさ、残酷さはあくまで逆張りの祝祭であり、全体としてはむしろ健全で善良な家族愛をテーマに据えている。一見エグい描写も独特の調和に収まるように計算されたもので、不思議にほのぼのした味わいが残るのである。