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 本シリーズは、実は第3作の製作も予定されていたが、ゴメズ役のラウル・ジュリアが1994年に54歳の若さで亡くなったため、企画は幻となった。潔く中止を決めたのも、素敵なチームを支えた名優へのリスペクトが伝わるエピソードで泣けてくる。

 とはいえ、『アダムス・ファミリー』という作品自体の広がりはまだまだ収まらない。2008年にはブロードウェイでミュージカル化され、2014年には日本上陸。また2019年にはCGアニメーション映画『アダムス・ファミリー』が大ヒットを記録し、2021年には続編『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』も発表された。

 そして2022年11月23日から、アダムス家の長女ウェンズデーを主人公にしたNetflixシリーズ『ウェンズデー』が配信開始となる。

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 主演は『X エックス』(2022年)などで知られる現在20歳のジェナ・オルテガ。監督にはティム・バートンが参加。そう、『アダムス・ファミリー』の映画製作陣が最初に当たった監督だ。また映画版でウェンズデーを演じたクリスティーナ・リッチも出演するということで、早くも話題沸騰、期待爆発の新シリーズとなっている。

『アダムス・ファミリー2』に秘められたささやかなオマージュ

 最後に、日本独自の小ネタをひとつ絡めておきたい。

 昨年(2021年)好評を博した坂元裕二脚本、松たか子主演のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)の最終話(第10話)で、主人公とわ子がプロバイダのマニュアルを探しているシーン。彼女は母親・つき子の荷物が詰め込まれているダンボールに突き当たり、クッキーの空き缶の中に『羊たちの沈黙』(1991年)と『アダムス・ファミリー』の半券を見つける。

『羊たちの沈黙』の日本での興収は7.7億円、『アダムス・ファミリー』は6億円。当時も充分ヒットしたが、今ではもはや定番のクラシックとして公開時よりも深く広く世に愛されている。この2作はそんな90年代娯楽名画の代表かもしれない。

 ちなみにこの“半券セット”には同時代性以上の意味がある。『アダムス・ファミリー2』には、『羊たちの沈黙』へのささやかなオマージュが込められているのだ。レクター博士そっくりのマスクをつけた赤ん坊ピューバート、そして博士への言及……ぜひ細部にも注目されたし!